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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

SNS上の声は宝の山「みんなの声」でファンを可視化

提案したいシーンが投稿で浮かび上がる

――確かに、商品やサービスで何か気になっても、企業のサイトではなくまずは口コミを調べてしまいますね。

 そうですよね。たとえばある飲食店に行く前に、お店の公式サイトではなくグルメサイトを見るという行動は、今ではとても一般的です。そのほうが、同じ立場のフラットな口コミや本音を聞けるのではないかと感じるのが今の生活者だと思います。企業の情報も参考にしていただいているかもしれませんが、それだけで行動することはないと考えておくべきなのではないでしょうか。

 逆に、お客様の率直な声はSNS上にたくさん上がっているので、そうした声を可視化して、探しやすくして、結果的に当社との関係を強くしていける場があったらいいのではと考えたのが「みんなの声」の発端でした。

 最初は、ザ・プレミアム・モルツのキャンペーンで活用しました。香りが華やかなプレモルを「ワイングラスで楽しみましょう」と提案し、そんなシーンをSNSにアップしてもらえるよう呼びかけました。指定のハッシュタグをつけている方は、サイトに掲載可という形でオプトインをいただき、みんなの声に集積しました。

 すると、ずらっとワイングラスでプレモルを飲むシーンの写真が並ぶので、こうした新しい飲用シーンを印象づけたい場合などは有効だなと確信しました。2015年当時はまだInstagramユーザーが少なく、Twitterが中心でしたね。

――現在は、どのように運営されているのでしょうか。

 少しずつ扱うブランドを増やし、現在では合計60ブランド程度が積極的に活用してくれています。そのうち常時15くらいを、サイトトップ画面の「みんなの声」というコーナーでブランド別にフィーチャーしている状況です。

「みんなの声」トップページ
「みんなの声」トップページ

他の人の投稿も楽しめるキャンペーン

――その15の選定は、事業部側と相談して決めているのですか?

 そうですね。ブランド担当者から、今度キャンペーンをやるのでピックアップして欲しいと要望を受けるケースがほとんどですが、どのような投稿を促すかについては、そのブランドの特徴は何か、解決したいブランド課題は何かなど、事業部側としっかり話し込んで決めていきます。

 たとえば「贅沢ヨーグリーナ&サントリー天然水」は、透明なのにヨーグルトの味がするという、新しいけれども味のイメージがつきにくい懸念がありました。それなら「みんなの声」で味の理解が促せるような、疑問が解決できるような場を作ろうと。「どんな味なんだろう」そう思って検索し、みんなの声に味の感想がたくさん出ていると、安心して購買いただく後押しになります。実際のお客様の飲んだあとの声は、企業が「こんな味です」と主張するよりも、格段の説得力があるのではと感じます。

――ブランドによって、見せたいものや強調したいシーンがあると思いますが、ユーザーの投稿の傾向と必ずしも合致しないと思います。そのあたりの難しさはないのでしょうか。

 もちろん、ブランドが強調したいことと必ず合致するわけではないですが、たとえば当社の商品であれば「食事との相性の良さ」や「人と楽しむシーンにともにある」といったことはどの商品にも比較的共通していますし、ブランド側もSNS上の声を集める以上はそれがコントロールできないものだとわかっているので、これまでそういう部分で困ったことはありません。逆にお客様の声をそのまま受け止めて、参考にさせていただいているというのが正解かもしれませんね。

 ユーザーの特徴や投稿の傾向もそれぞれですが、商品のイメージやユーザーの傾向を踏まえてキャンペーンを企画できると、大きな話題につながりますね。たとえば今年とても盛り上がったのは、「GREEN DA・KA・RA」で行った写真投稿キャンペーン「#うちの子どうしてこうなった選手権」です。普段からお子さんのいるご家庭での購買が多かったのもあって、子育てを応援する趣旨で、思わず笑ってしまうシーンの投稿を呼びかけました。こうした内容だと、他の人の投稿を見るのもとてもおもしろいので、投稿写真の集約がキャンペーンの盛り上がりに一役買ったのではと思います。

「#うちの子どうしてこうなった選手権」キャンペーン受賞作品の一つ
「#うちの子どうしてこうなった選手権」キャンペーン受賞作品の一つ

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この記事の著者

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 17:42 https://markezine.jp/article/detail/27239

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