Twitterを話題の起点となる一次メディアに
また、募集に先駆けて7月11日からティザーとして、ネットを起点に人気が高まっている3組のアーティストが書き下ろした「MOMOTAROの歌」を順次公開。それぞれがSNSでの発信力が高いこともあって、Twitter上で「もうすぐペプシから何かが発表になるらしい」との期待を盛り上げ、関連ツイートのリツイート数や「#桃太郎」「#いざ鬼ヶ島」のハッシュタグ付きツイートの投稿数が一気に上昇した。
「僕の中でのテーマは、Twitterを一次メディアにすることでした」と皆川氏は話す。これまで、特にTwitterのような極めて気軽に投稿できるプラットフォームは、CMや動画投稿サイトなどでの話題がシェアされて二次的に盛り上がる場となることが多かった。だが、Twitterには拡散力があり、動画はとてもよく視聴されるため、動画投稿サイトでの接触ではなく最初から“Twitterで一次接触してもらう”ことを狙えるのではないか、と考えたという。
一方、話題が広がる速度やレスポンスが高いTwitterは、タイムラインがとても速く流れる面もある。「そこは、受け皿としての動画投稿サイトも整備して担保した」と前田氏。
各SNSはそれぞれ特性が異なるため、適したクリエイティブも変わってくる。CMを制作している場合、同じ素材をSNSでも流すケースが多いが、今回はしっかり切り分けられたことが奏功した。とりわけ企画段階から、その利用者の傾向に最も精通するメディアサイドと話し合えたこと、クライアントとクリエイターとメディアが膝を突き合わせて進められたことが成功のポイントだったといえるだろう。サムネイルに大きく「聞いてくれ」と文字を載せたことなども、Twitterサイドからの意見を参考にしたそうだ。
一般参加の“キャスト”が次の拡散の原動力
10月、実際に約50名の一般参加者を八丈島に迎えて、新作の撮影が行われた。彼らには一人ひとり異なる衣装が用意され、その扱いはエキストラの域を超えて“キャスト”そのもの。「天候による撮影予定の変更など、私たちにとっては当たり前のことも、一般キャストの方にどう受け止められるか心配がありました。でも皆さんとても楽しんでくださり、撮影期間中もどんどんTwitterに状況をツイートしてくれていてほっとしましたし、予想以上に濃いエンゲージメントが築けたと思っています」と佐野氏は振り返る。
小栗旬、野村周平両氏を交えた全員のイメージカットをシェアOKとして提供したことは、ファンにとっては嬉しい心遣い。当然、多くの人がその写真をツイートした。実際のCM公開時に、彼らがまた拡散の大きな原動力になったことは、いうまでもないだろう。
Twitterを中心に他のSNSも立体的に活用したことで、それぞれの強みを改めて学ぶことにもなったと前田氏。「一連の施策を通して、メディアのプランニングはもっと精度を高められると感じました。コンテンツの質が高いとオーガニックでも自然に拡散するので、広告でコントロールしすぎると逆効果になる場合もありますが、一方で適切に広告を運用するとさらにぐっと伸びることも多い。今後はそれを見極めつつ、継続的な話題づくりに取り組みたいです」と語る。
皆川氏は「キャンペーン時のボトルデザインの工夫など、パッケージの活用にまだ大きな可能性があるのでは」とデジタルとアナログの連動への期待を話す。今年の“祭り”を経験してチームで得た知見を元に、来年以降どういったブランディングが展開されるか注目だ。