導入初期のキーワードは“クイックウィン”
実際に、どのように導入を進めていったのか。まず初期段階として行ったことは、「自社データとのつなぎ込み」と「クイックウィン」の2つ。
データのつなぎ込みは、CRMデータなどの自社で所有しているデータとの連携が必要になるため、その部分をまず決めて設計。何とつなぐかを決めたら、対象データをどうするか、同社の場合は、起点をメールアドレスに置き、プラスしてどこまでのデータを対象にするのか、同期条件・項目などを決めていった。
その後、Web上の動きと連動させるため、cookieとデータを紐づける。開発などと連携し、作業にかかった期間は1~3週間ほど。
クイックウィンについては、「簡単」「わかりやすい」「効果がすぐ出る」、これら3原則があると齋藤氏は説明。初めの旗振り役に齋藤氏自身がなり、まずはメールのABテスト、HTML配信などを、1~2週間で実施したという。
「初期導入で大切なポイントは、1.運用・システム部門の巻き込み 2.迷ったら、一通りデータ同期する3.壮大なことは後で考える の3点だと思います。2.については、マルケトはリード数課金で項目数は関係ないので、運用が大変にならない程度に同期してしまえば良いと思いますし、3.では、カスタマージャーニーやスコアリング、セグメンテーションの設計などは後で考え、クイックウィンで動いていくことが大切です」(齋藤氏)
なぜ、クイックウィンが重要なのか。理由の一つは、旗振り役の精神的安定の確保。MAツールに投資した分を回収しようとすると焦り、コミュニケーションが「プロモーショナル」になりがちに。しかしそれは本来の目的とは異なってくるため、早めに投資回収の目途をまずは小さく立てて、成果が出ていることを周囲にわかってもらうことが大切だという。
もう一つは、他部門の協力を得るため。マルケトの組み込みには、他部門の協力が必須になるが、人を動かすのは容易ではない。しかし、わかりやすく成果があると人は動くので、まずは少しでも成果が出ていることを伝えることが大切だと齋藤氏は説明する。