クレジットカードがステイタスの時代は去った
クレジットカード業界が「未曾有の赤字」であると伝えられる興味深い記事があった。この記事によると、クレジットカード会社は新規会員獲得のために潤沢な資金を投入して来たが、この成長モデルが崩壊すれば「ポイントバブル」も崩壊に向うであろうと予測している。
クレジットカード各社は新規入会者に大量のポイントを付与するキャンペーンを実施したり、リボ払いでポイントを引き上げたり「ポイント5倍」「ポイント10倍」といったキャンペーンを乱発してきた、とある。
クレジットカードの審査が厳しく、ステイタス・シンボルだった時代は去って久しい。元々、ステイタスよりも実益に興味のある主婦層などは、年会費を取られるゴールドカードやプラチナカードには見向きもせず「年会費無料」「ポイントによるメリット」に主眼を定める者が多い。
例として、主にスーパーやネットショッピングや実店舗での決済にクレジットカードを使う主婦A子はスーパーの母体が発行するカードや銀行が発行するカードなど6枚を所有していて、各々のカードが行なうキャンペーンを見定めて月々どこのカードを使えば一番メリットがあるか常に目を光らせて「カード放浪」をする知人女性もいる。
彼女はつい最近まではファミマカードをメインカードにしていた(ツタヤなどで使えるTポイントと合体してファミマTカードとなった)。このカードを、火曜日と土曜日にファミリーマートで利用すると、雑誌、タバコ、プリペイドカード等、一部商品を除き5%引きとなった。また、一回の買い物につきレシートポイントが1ポイント、100円につきショッピングポイントが1ポイントついた。
ポイントバブルははじけるのか?
さらに、クレジットカード支払いにつくクレジットポイント、会員キャンペーンポイントなど、公共料金や通販もクレジット払いが出来るというのであっという間にポイントが貯まる。しかも大方のクレジットカード会社のポイント交換の方法と違い 、店内にある機械で200ポイントや400ポイントなどの規定のポイントまで貯まらなくても引き出し可能なのだ。
ところが最近ファミりーマートはこの5%還元を止め、代わりにおにぎり、弁当、サンドイッチなどの特定商品のみ10%割引に路線変更をした。そのため、それらを買わないA子のメリットは激減、ヤフーオークションをしている友人からヤフージャパンカードを勧められて素早く申し込み、こちらをメインカードにしたという。それを機会にヤフーショッピングも利用するようになったのでヤフーの顧客囲い込みの思惑はうまく行った事になる。
それにしても、ヤフージャパンカード、聞けば聞くほどポイント攻勢である。
オークション利用でヤフープレミアム会員になって決済に使うヤフーウォレットにヤフージャパンカードを指定すると毎月2ポイント付与される。ヤフーショッピングに使うと通常3万円(税2500円)に300ポイントが付くところ、更に税込み価格の32500円に対して325ポイントが加算されて合計625ポイントが付与される。
その他、ストアでのショッピングポイントに加え、ヤフージャパンカードならプラス7倍、ヤフープレミアム会員、ヤフーBB会員ならプラス5倍というキャンペーンを行なうなど、まさにポイントの大盤振る舞い。しかし、ファミマTカードのポイント路線変更の事例もあり、ヤフージャパンカードの「ポイントバブル」もいつはじけないとも限らない。
金利を稼げない国なのだから、いまのうちに賢くポイントを稼いでおく方が良さそうだ。
【お詫びと訂正】
ニュース公開時、「このカードをファミリーマートで利用すると火曜日と土曜日に全商品が3%引きになり、10円以上の買い物に必ずレシートポイントが1点つき、100円に付き1ポイントのショッピングポイントもつく」という記述がありましたが、正しくは「雑誌、タバコ、プリペイドカード等、一部商品を除き5%引き」の誤りでした。また、「10円以上の買い物に必ずレシートポイントが1点つき」とありましたが、「一回の買い物につき1ポイント」が正しく、合せて訂正をしております。(2008/3/7)
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参考: 岐路に立つクレジットカード業界 (nikkei BPnet)