ソリューションの組み合わせが競争力になる
MZ:企業からのニーズもあったんですか?
岩田:そうですね。アドエビスの強みは、アノニマス領域のリードジェネレーション(新規顧客の獲得)と、そこで得たデータを次のマーケティング施策へ活かせるよう整理することにあります。ただ、その先で価値を生み出すにはデータ連携していないと、アノニマスデータのポテンシャルを活かしきることはできません。数あるソリューションの中でも親和性の高いサービスとして、マーケティングオートメーションツールとつなぎたいという要望は多くの企業様からいただいていました。
MZ:御社は以前から、アドエビスを「マーケティングプラットフォーム」にするという構想を打ち出されていましたから、着々と進行している印象ですね。福田さん側からも連携の狙いを教えていただけますか。
福田:補完関係になるサービスと連携して、より一貫したマーケティング支援を提供したいという考えは当社にもありました。ファネルの入り口から出口までがつながれば、マーケティングと営業の分断という組織の問題をスムーズにする一助にもなるだろう、と。
加えて当社としては、日本におけるマーケティングのソリューションマップを作りたい思いがあります。今、アメリカではマーケティングテクノロジーの会社数が5,000社とも7,000社ともいわれていますが、日本でも数多あるソリューションをどう組み合わせるかが、今後の企業の競争力のカギになるはずです。今回の動きがその一例を示すことになれば、と考えて着手しました。
ABM強化によるマーケティングの複雑化が課題
MZ:なるほど。では、既にデータのつなぎ込みを終えて活用フェーズに入ろうとしているSansanさんにお話をお聞きします。まず、お二人の役割をうかがえますか?
新名:マーケティング部で主にデータ分析と可視化に携わっています。Marketoの運用担当でもあり、これまではオンライン広告に直接は携わっていませんでしたが、今回の連携の設定などは私が担当したので、アドエビスのデータも分析対象に入ってきたところです。
菅原:私は副部長の立場で、マーケティングのマネジメントをしています。今注力していることのひとつは各サービスを連携したデータドリブンマーケティングで、もうひとつはオンラインと展示会や自社イベントを含めたオフラインを組み合わせて、複合チャネルで売上の最大化を設計することです。
MZ:そうすると、かなりデータも蓄積している状態ですよね。御社はそもそもマーケティング戦略自体がかなり骨太だと聞いていますが、直近の課題と、データを連携した理由をうかがえますか?
菅原:当社は創業12年目で、顧客は7,000社になりました。6、7年目あたりで顧客が2,000、3,000と増え、勘と経験を頼りに目検でリードを振り分けるのも限界になってきたので、3年前にMarketoを入れてリードの再発掘など含めて自動化を進めていました。
一方でアドエビスは先行して5年前から活用し、データを手動でセールスフォースに入れていました。直近だと当社はよりエンタープライズ層の獲得に重きを置いており、ABMなど新たな手法も進めています。するとさらにマーケティングが複雑になり、今以上に自動化したいという希望があったんです。