数値にならないエモーショナルな部分をどう捉えるか
平尾:同時に、一部のデータ分析に長けたパートナー企業だけがデータを専門的に取り扱えて、企業との間に情報の非対称性があった時代も、崩れつつあると思いますね。企業がデータ活用の主導権を取り戻して、改めて統合的な視点で自社のマーケティングに臨めるような、そんな流れを感じます。高瀬さんは、最近のトレンドをどのようにご覧になっていますか?
高瀬:そうですね、私は平尾さんが指摘されたマーケターにとって本領発揮しやすい状況が整いつつあるというお話がすごく腑に落ちました。データ分析を機械に任せて、マーケターが改めて広告の本当の意味や意義を見つめ直すことに専念できる、そんな揺り戻しが来ている感じがしています。広告は本来、人にまだ知らない価値を気づかせたり、気持ちを揺り動かして行動を促したり、さらには絆を作る一歩/後押しになったりするものですよね。
平尾:そうですね。広告もそうですし、イベントやコンテンツなどの施策のすべてがそうだと思います。
高瀬:近年まで、デジタルが発展するなかで、人の動機やエモーショナルなところもある程度は数値で示せるようになったことで、人のことも0か1かというデジタルな数字で見るのが当たり前になってしまった側面があったことも否めないと思います。
デジタルに傾倒するあまり人と向き合えなくなっていたことに気づいて、データで可視化できる部分はつぶさに追求しながら、一方でクリエイティブなどデータでは割り切れないエモーショナルなところをどう捉えるか、それらをどうブリッジするかに真摯に向き合うことの重要性を感じています。
インフラが発達する分、パートナー企業の存在が重要に
平尾:興味深いご指摘ですね。当社も、できるだけ簡単に、かつ精度の高い分析結果を返せるツールを目指しながらも、むしろそのサイエンスを突き詰めるほど、マーケターにしかない「見出す力」の重要性が増していくと考えているんです。データは扱い方次第でとても豊かな示唆を与えてくれますが、そこに答えはないので、仮説を磨くことこそがデータ活用の本質だと思うのです。
高瀬:同感です。
平尾:いっとき、データ活用やデータサイエンティストの存在がクローズアップされたことで、それが万能のように捉えられて、仮説立案の重要性が薄れた風潮もあったのではないかと思っています。
でも、決してそうではない。あくまで主体はマーケターであり、マーケターが導き出す仮説や意志決定こそが大事です。データサイエンスは、マーケティングをもっとわくわくさせるものですし、我々のツールがそうした役割を担えればと思いますね。
高瀬:その点でも、マゼランによって「データエクゼキューター」がどんどん育っていくといいと思いますね。データ分析と活用のツールは、もはやツールというよりインフラに近くなっていくだろうと感じています。
平尾:そうですね。ただ、やはりツールもインフラも、整備しただけでは何も変わりません。トレーディングデスクとしてオンライン広告のインハウス運用を支援されている高瀬さんも同じだと思いますが、我々も支援先企業様の体制づくりやパートナー企業としてのサポートといったソフトの部分も引き続き注力していきたいです。
高瀬:同じですね! ツールやインフラが発展する分、内製するところと外注するところを見極めて切り分けること、そしてしっかりと併走してくれるパートナー企業と連携していくことが、これからの時代のマーケティングにますます必要になってくると思います。
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