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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

統括編集長インタビュー

“PL責任”を背負い、修羅場を経験しているか?普遍の価値を生むマーケターを目指すなら通るべき関門

常に実力+αのハードルが目の前に

押久保:P&Gでは、ブランドマネージャーの上にはどのような役職があるのですか?

西口:最初は既存商品を担当、それから日本初上陸の商品や新商品を担当して経験を積んだ後は、アソシエイトマーケティングディレクター、さらにマーケティングディレクターという複数ブランドを見る立場になります。キャリアの浅いブランドマネージャーの育成にも携わります。

 その上には、ジェネラルマネージャーという役職があります。マーケティングディレクターからジェネラルマネージャーへの間はかなり飛躍があり、単に事業を伸ばすだけでなく、組織構築と人材開発の能力も相当問われていました。米国本社などとのグローバルコミュニケーション、また外部企業との渉外交渉も必要になってきます。

押久保:ブランドマネージャーのスキルセットは、どう設定されていたんですか?

西口:僕がいた当時は、リーダーシップ、コミュニケーション、シンキング(思考力)の大きく3つの観点がありました。P&Gは他の事業会社と比べて、内部での人材育成にすごく力を入れていると思います。前述のようにキャリアアップしていくと、部下の育成も求められます。

 教育プログラムとは別に、実務での育成も絶妙で、いつも自分の実力を少し超えたハードルを設けられていました。それを超えると、また次のチャレンジが待っている。常に走っていた感じでしたが、だから成長できたと思います。

押久保:ちなみに、尊敬するブランドマネージャーやマーケターの方はいらっしゃいますか?

西口:日本人初のP&Gジャパン社長、さらにアジア出身者初のP&G米国本社のアジア担当プレジデントを務められた桐山一憲(はつのり)さんですね。

 マーケティングと営業の両方のご経験がある桐山さんは、まず視野がとても広い。相当数のプロジェクトを担当しながら、その細部で誰がどう動いているか、またステークホルダーとの関係や状況まで把握されていました。やると言ったことは絶対に完遂し、僕らにも同様のコミットメントを求められたので、まさにその背中で教えていただいたと思っています。

 また、ゼロから1を生み出すアントレプレナーとしては、ロート製薬の山田邦雄会長にたくさん勉強させていただきました。僕の「N=1」の考え方のルーツは、山田さんにありますね。

PLを預かるのに必要な責任感と精神力

押久保:では、ブランドマネージャーに限らず「売上・利益の責任を持つ」にあたって、絶対に必要な資質を西口さんはどうお考えですか?

西口:第一に、責任感です。もちろん仕事に対する責任感は皆が持っていると思いますが、やはり担っている裁量が大きいので「自分がやらないとダメなんだ」という、奮い立たせるような思い込みは必要だと思います。

 その一方で、どこか楽観視できる精神力、最後は自分を許せるマインドも欠かせません。それがないと、どこかでプツッと糸が切れてしまう。Burnoutといいますが、燃え尽きてしまうんですね。もちろん、はじめから強い人ばかりではないし、皆ブランドマネージャーの仕事をしながら強くなっていったと思います。ただ、僕はどちらかというとシリアスに思い詰めるところがあったので、つらいときもありました。

押久保:そうだったんですね。そんなご自身を、どう変えたんですか?

西口:変えられたか……というと、そうでもなくて。逃げられなかったというのが正しいですね。ブランドマネージャーになって3年目に担当した新商品で、完璧だと思ったのに、ものすごい失敗をしてしまったんです。伝説の経営者のA.G.ラフリー氏の肝煎り商品で、全世界の注目の的だったのに。……いまだにこの話をすると、顔が硬直しますね。

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経営を志すか、専門手法を究めるか

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31198

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