翌日以降のリタゲ獲得は半数以下/金融業界におけるCV数の真実
まず1つ目の分析事例では、金融業界におけるコンバージョン数を検証。「初回訪問からコンバージョンに至る期間」と「新規/既存ユーザー別のコンバージョン含有率」を可視化した。
「初回訪問からコンバージョンに至る期間」を検証した結果、実に全体の約75%のユーザーは初回訪問当日にコンバージョンしていることが明らかになった。つまり、翌日以降のリターゲティングで獲得できるのは、半数以下ということだ。

「新規/既存ユーザー別のコンバージョン含有率」においては、新規コンバージョン含有率は既存と比較して実に約5倍という結果に。新規のほうが明らかにコンバージョン効率が高いことから、ライトユーザーや新規顧客を多く囲い込む施策の必然性が証明された。
リタゲによる本当のコンバージョン数
2つ目の分析事例では、リターゲティングで純粋にコンバージョンしたであろう数(TrueCV)を推定した。リターゲティング広告を配信しなくてもコンバージョンした人の数を除いた、純粋なリターゲティングによる効果を明らかにする試みだ。

分析の結果から、各業種でまったく同条件でのシミュレーションを行ったところ、結果は業種によって大きく異なることが明らかになった。特に百貨店、オンラインゲーム、総合通販などはリターゲティングによる純増がほとんどなかったが、旅行代理店、印刷、広告、デザイン、消費者金融などはリターゲティングの純増が多い結果となった。
傾向として、リターゲティング広告のCTRが高い場合は、純増に寄与することが明らかに。今回のシミュレーションでは、今見えているリターゲティングのCPAより、全体で1.3倍のCPAが悪化することが判明した。
「検証の結果、業種によって効果は変わるが、リターゲティング広告を配信しなくても、自然に獲得できたコンバージョンの存在が明らかになった。つまり、コンバージョン数の最大化を目指すうえで、正しく自社のリターゲティングの効果を知り、予算のアロケーションを行う重要性が示された」(酒向氏)
リターゲティング広告の効果の高さは、マーケターの誰もが実感している事実だ。しかし、「リターゲティングに頼らずに新規顧客を獲得する施策にも予算を実験的に投下し、未来を見据えて動いていくことも必要だ」と酒向氏は締めくくった。
