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『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

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定期誌『MarkeZine』特集

急激なマーケティング投資削減で問われる「顧客戦略」の重要性

 今年3月「2019年日本の広告費」が発表され、インターネット広告費がテレビ広告費を超えたことが特筆された。だが、この調査結果だけでは何の戦略も立てられない。「なぜなら、メディア接触態度は世代間で大きく異なるから」と、M-Forceの西口一希氏は語る。さらに折しも全世界が新型コロナウイルスに見舞われ、今後相当規模でビジネスの停滞が見込まれる中、おそらくどの企業も避けられないのはマーケティング投資の圧縮だろう。今後のマーケティングの課題と、それを乗り越えるための考え方を解説いただいた。

※本記事は、2020年5月25日刊行の定期誌『MarkeZine』53号に掲載したものです。

不況下では真っ先に広告費が削られる

 本誌が発行される5月下旬、世界はどのような状況になっているでしょうか。3月に企画の打診を受け、記事を制作した段階で、状況は急変しました。本稿は、元々は「日本の広告費」の読み解きを発端とするメディア議論のつもりでしたが、緊急事態宣言で外出ができない中で経済が急激に変化縮小する状況下、企業は確実にコスト削減が迫られ、マーケティング部門では広告費が削減されることは明白です。そこで論点を変えて、不可避なマーケティング投資削減に際して抑えるべきポイントに関して解説したいと思います。

 今回に限らず、リーマンショックやそれ以前の不況の折には、企業として必ずコスト削減が突き付けられてきました。様々な部門の中で、削減対象の濃淡はありますが、マーケティング部門は比較的、急激な圧縮を迫られるのではないかと思います。

 そもそも劇的な社会変化がなくても、多くの企業のマーケティング投資には、多くの無駄があると思いますし、そう感じられている経営者やCFO、CMOも多いと思います。今回は、喫緊のマーケティング投資削減にどう対応すべきかだけでなく、マーケティング投資をいかに中長期で戦略的かつ効率化していくべきか、その課題と解決の道筋に関してまとめてみました。

減らすべきでない「ブランディング」広告まで削減するリスク

 マーケティング投資削減においては、単純に、計測できていない項目が削減されがちです。数字計測が基本である新規顧客獲得目的のデジタル広告は温存されテレビCMや純広告など、「ブランディング」を目的としたデジタル・マス広告が主たる削減対象になります。2000年代のリーマンショック時もそうでしたし、数字で説明できないものが真っ先に削られるのは、広告以外のプロモーションでも同様です。

 そもそも「ブランディング」という言葉自体が漠然としていますし、数字で検証されていない「ブランディング」投資が無駄になっているケースは確かに多いのですが、実は、ビジネスに大きな貢献をしている場合があるので、そこを見極める必要があります。

 デジタルであろうがテレビ広告であろうがすべてのマーケティング投資には目的があるはずなので、まずは、そこから検証すべきです。大きく分ければ、1)新規顧客の獲得(ブランドの未認知顧客やブランド認知はあるが未購買顧客の初購買)2)離反や休眠顧客の再獲得(購買への復帰)3)現在顧客の継続購買や購買頻度、単価向上、のいずれかが目的となります。

 先ほど述べましたがデジタルのマーケティング投資は、削減対象になりにくいですが、問題は効果測定をしていない「ブランディング」投資なのです。多くの場合、このような目的が漠然とした「ブランディング」広告は削減しても、短期では大きな影響は出ません。しかしながら、3)を目的とした「ブランディング」投資は、大きな顧客基盤を抱えているブランドにとって、リマインダーとしてビジネス貢献している場合があるのです。この投資は、定期的にそのブランドを想起させる一貫性のある広告メッセージを発信することで継続的な購買を促し、他ブランドへの離脱を防ぐためのものです。ビジネスを中長期で支えている投資であるため、削減すると短期で売上減になるリスクがあります。

 3)が目的であっても、この「ブランディング」投資の投資効果の効果測定がなければ、いずれにしても、一旦、投資削減は避けられませんが、少なくとも、一部のエリアで、この「ブランディング」投資を少量継続し、後にその効果を比較検証できる状態にしておくことをお勧めします。目先の投資削減は避けられないものの、この比較検証を行うことで、今後の中長期のマーケティング投資の優先順位変更につなげることができます。

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ビジネスと相関しない単純な「好感度」計測のリスク

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

1990年 P&G入社 ブランドマネージャー マーケティングディレクターを歴任。日本と韓国において初のショッパーマーケティングを創設。2006年 ロート製薬 執行役員マーケティング本部長に就任。『肌ラボ』『OXY』『オバジ』『50の恵』『デ・オウ』等 60以上のブランドを統括。2015年 ロ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:44 https://markezine.jp/article/detail/33439

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