オリエンから撮影、編集まで100%リモート
――「Remote Natives」とは、どのようなソリューションですか。
佐々木:オリエンから企画・提案、そのフィードバックや撮影、編集まですべてテレビ会議ツール「Zoom」で完結してしまう制作スタイルです。映像制作だけでなく、広告サービス全般のクリエイティブを網羅的に対応します。撮影に関しても、キャストの元に、グリーンバックやカメラ、照明、衣装を送付。ディレクションはZoomで行います。

グラフィックやムービー編集、サイトチェックも、Zoomで立ち会っていただき、リモートエディティングをします。撮影中止になってしまった実写プランを、世界中のクリエイターと共創することでフルCGで実現することも可能です。
――具体的に、どのように制作を行っているのですか。
佐々木:企画会議からクライアントにも入ってもらい、各技術者らと一緒にディスカッションします。映像制作の場合であれば、現場のプロデューサーや撮影技術者も同席するというイメージです。対クライアント、対制作会社と分断して行われていたミーティングを統合して、クライアントもクリエイターも共創すればプランニングが一気に効率化できるし、今までにないクリエイティブも生まれる。スピードもクリエイティブの質も大きく変わってくると思います。
制作現場にクライアントがいるので、意思決定のスピードが速いのも特徴です。システム・アプリ開発の現場で行うアジャイル開発のように構想やプロトタイプの段階でリリースし、ユーザーの反応を見て改善できます。広告のクリエイティブ制作をリーンで始められるようになったんです。
アイデアについては、クライアントとGoogleプレゼンテーションを共有して自由に書き込んでもらうようにしています。プランナーやデザイナーが1ページ1アイデアを入れていき、それを見たクライアントがフィードバックをコメントしていく。これを1週間ほど繰り返すと、いつしか練り上げられたプレゼンテーションができあがります。これを使って、クライアントの担当者の方が上司や経営者を口説くんです。
「24時間体制」を無理なく可能にするGX
――海外拠点との、リモート制作のメリットは?
佐々木:時差を使ったレバレッジが効いて24時間制作し続けられることです。誰も徹夜させることはありません(笑)。
日本で丸1日制作して夜になったら別の都市にいるクリエイターにバトンタッチする。すると次の都市では朝が来たところで、そのまま制作を続けられる。このようなメリットも活かしつつ、日本の広告業界も徐々にグローバル化・グローバル共創になっていければと思っています。流行りの「X」でいうと、グローバルトランスフォーメーション(GX)ですね。
――リモートで制作した事例をお教えください。
佐々木:たとえばアメリカのマイアミにある非営利団体「CAS (the Cellular Agriculture Society)」のWebサイトは、フルリモートで制作したものです。ロンドンでディレクションして、日本がテクニカルを指揮して、フランスで3DCGを作りました。クライアントはもちろんマイアミです。このWebサイトは世界的なデザイン賞を複数受賞しました。

ストラテジー、デザイン、ユーザーエクスペリエンス、コピーライティングを担当
受賞したデザイン賞
・Awwwards - Site of The day, Developer award
・CSS Design Awards - Website of the Day, Best UI Design, Best UX Design, Best Innovation certificates
・Mindsparkle magazine - Site of the Day