分析、組織づくり、最適化、最大化の4ステップ
――具体的なプロジェクト進行は、安永さんが担当されているそうですね。これまでどのようなお取り組みを行ってきましたか。
安永:まずはベースの収益を上げるため、マーケティングコストの再配分を図りました。ハートラスさんには、広告媒体ごとの売上への寄与割合を分析いただき、最適なメディアミックスを導き出してもらいました。これは、コスト削減を行うという文脈ではなく、同じ広告宣伝費を投じるとして、メディアミックスの配分を変化させることで売上を拡大する余地がないのか、という分析です。
次に、会社の全体的なマーケティングの質を向上させるために、アビタスの中で実際にマーケティングを担当しているチームの再編成を進めております。
高瀬:実行フェーズに移った現在は、アビタスさんを含めた広告マーケティングに関わるチームの方々と、業務設計の見直しや、代理店のディレクションに入ったりしながら、日々の細かい数字の確認などを行っています。
安永:現在、チーム組成はまだ強化途中でして、今後さらなるレベルアップを目指しています。アビタスと東京中央日本語学院はパスメイクホールディングスというホールディング体制を敷いており、今後色々な会社を買収しながら成長していくストーリーを描いていますので、そこに新たに会社が加わったときには、ハートラスさんに今回と同様の支援をいただく予定です。
高瀬:新しい法人を迎え入れたときのために、「分析、組織づくり、最適化、最大化」の4ステップをフレームワーク化することが、APさんとしても投資先に対するバリューアップの手段として、スピードの観点から考えた場合、重要だと考えています。
安永:ハートラスさんは一連のステップの中でも、「最適化」の部分がとても上手ですよね。投資先企業のマーケティングチームは人的リソースが限られていることも多いですが、それをよくご理解いただいた上で、その時々で効果的にマーケティング施策を向上させるための要素を見つけ出し、必要な場合には足りないピースを補ってくれていると感じます。マーケティング強化に際しては投資先企業のマーケティングチームの方々の活躍が大切ですが、それをうまくサポートいただいているかと思います。
自走できる企業に育てる、スキルトランスファーのポイント
束原:ハートラスさんはスキルトランスファー、いわゆるマーケティングのノウハウやスキルを移植していただくようなコミュニケーションやインタラクションも得意ですよね。言葉だけで伝わらない部分が結構あると思うのですが、客観的に評論するだけでなく、一緒に手を動かしてやり方を示してくださる。
たとえば、外部の代理店とのコミュニケーションをどうするか、発注要件など、様々な規範を示しながら、良い方向に導いてくれています。
――ハートラスさんは、円滑なスキルトランスファーのためにどのようなことを心がけているのでしょうか
高瀬:「知識習得」と「実務」をミックスし、範囲を決めて実行していく。当たり前のことですが、これをやり切れるかが、最も重要だと考えています。
まず知識や技能の習得に関しては、講座やカリキュラムを用意し、ステップアップしていただいています。しかしそれを自社の実務に当てはめて実践していくのは、簡単ではありません。だからこそOJTの形態で、弊社の担当がアビタス様のご担当者様と一緒に、ステップごとに実行と振り返りを行っています。
高瀬:もう一つ、スキルトランスファーした先に属人化が起こらないよう、気を付けています。トランスファーしていく過程で物事の考え方や、運用の仕方・代理店とのルールなどはできるだけアウトプットし体系化するようにして、後から入った人が見ても理解できるものにしようとしています。