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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

急伸するZoom その世界観とマーケティング戦略

ビジネスの成否に関わるカスタマーサクセス部門

――現在の組織体制は?

佐賀:10人規模でスタートした体制は、5月時点で40名ほどになり、今後も採用活動に力を入れて年内に倍にする計画です。大まかに半分が顧客対応の営業で、もう半分はエンジニアとカスタマーサクセス、マーケティングなどの間接部門です。特に、SaaSのビジネスですとカスタマーサクセスの活躍が非常に重要になってきますね。

――岡澤さんは、米国以外のマーケティング担当者の第1号だそうですが、入社の経緯とマーケティング組織の体制を教えていただけますか?

岡澤:総合商社に勤めた後、複数社の外資系IT企業でマーケティングに従事してきました。日本法人およびマーケティング組織の立ち上げを3社で経験して、昨年4月にZoomに参画しました。これまでは、どちらかというとITインフラを扱ってきましたが、以前からSaaSのビジネスに興味があり、特にビデオコミュニケーション分野はこれから伸びる分野だと思ったので、加わった次第です。

 各国に戦略を展開していくインターナショナルマーケターは、今は日本の他にヨーロッパ、オーストラリアなど、他の地域にも配置されています。

――マーケティング部長としてのミッションは何でしょうか?

岡澤:主に3本柱で進めています。ひとつ目は、ブランドの確立です。広報やアナリストリレーション、ブランド対応、ソーシャルメディアなどを通したブランディングが中心ですね。

 2つ目は、リードジェネレーションとリードナーチャリングです。イベントやウェビナーの実施、アライアンスパートナーとの共同カンファレンスや展示会への出展のほか、外部での講演の対応も増えています。

 3つ目は、カスタマーエンゲージメントです。ユーザーコミュニティを構築、拡張して、ハッピーな顧客を増やす活動にも力を入れています。

日本のオフィス事情を観察してフィットさせる

――その3本柱に基づいて、どういった施策を行っているのですか?

岡澤:これまでは、マーケター向けの展示会や働き方改革を切り口とするイベントに出展したり、SlackやBox、Dropboxなどのアライアンスパートナーとの共催セミナーも定期的に行ってきました。今は、リアルなイベントから全面的にウェビナーに移行して実施しています。

 直近では、国内パートナーとして唯一のディストリビューター契約を3月に結んだSB C&S社とのジョイントマーケティングで、3月中旬よりテレビCMや交通広告などを実施しましたので、露出が増えていますね。

――日本では、というお話がありましたが、昨年7月に日本での事業体制拡大を発表された記者会見で、「日本向けにカスタマイズした独自のソリューションや市場参入計画を開発する」と話されていました。現在の活動をうかがえますか?

佐賀:機能を日本向けにするというよりも、こうしたソリューションが日本市場ではどう導入され、使われているのかをよく把握して、それにフィットさせる必要があるという考えが根底にあります。たとえば米国では、90%が直販なんです。それは企業内にIT担当がいて、製品を比較検討して組み合わせて導入するのが一般的だからですが、日本では基本的に販売代理店がハードとソフトウェアを組み合わせて提案し、導入支援をすることが7〜8割を占めています。

 すると、キーになるのは販売代理店です。そこで取り組みとしては、まず販売パートナーを拡充し、多様な組み合わせができるエコシステムを構築しています。その上で、いくつか具体的なソリューションをご紹介すると、たとえば東京と大阪のオフィスや2階と3階のフロアを1日中つないだままにする仕組みは、とても日本的ですね。米国では電話会議の延長で自然とWeb会議が使われていますが、日本ではそもそも電話会議があまりなく、むしろオフィスで社内外とも対面の会議で1日が回るようなスタイルがあります。その前提で、業務やコミュニケーションの効率化と円滑化を図るシステムとしてソリューション化しています。

やるべきことは速やかにやるエンジニアリングの会社

――日本のオフィス事情やワークスタイルに沿っているのですね。

佐賀:そうですね。他にも、工場やインフラ系のメンテナンスなど、作業現場の方がスマートグラスを通して映像を本部に送り、エキスパートに指示を仰いだりすることもあります。これも製造業のさかんな日本ならではであると思います。

 さらに最近はBtoCの活用も広がっています。たとえば家庭教師をオンラインで提供することで、子育てや介護のために仕事を離れたり地域に引っ越したりした人が、また復帰できるようになっています。これはまさに働き方改革にも直結していますね。

――なるほど。他にも、英会話や楽器のレッスンなどのBtoC利用も増えていると聞きました。ユーザーの数と属性が広がると、フィードバックも増えるかと思いますが、冒頭で佐賀さんが触れられたように、ユーザーの声をすばやくプロダクトの改善に活かしている印象もあります。そうした動きは、御社の中でどういう位置づけなのでしょうか?

佐賀:もちろんユーザーの声は重視していますが、いわゆる組織体制や仕組みで対応しているのではなく、エリック・ユアンの根本的な姿勢と意思によるものですね。彼自身が正しいと思えば彼を筆頭にすぐに動くことが根付いている、エンジニアリングの会社なんです。

 やるべきことは速やかにやる、それが常に実践できていることには無上の喜びがありますね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/27 13:00 https://markezine.jp/article/detail/33837

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