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dotグラフィで探る、Z世代のホンネ

インスタ投稿は激減、コト・モノ消費ともに「量」から「質」へ コロナ禍で変化したZ世代の価値観

 これからの未来、消費の中心となるであろう1996年以降に生まれた若者=“Z世代”。子どもの頃からスマホやSNSを自由に使いこなしてきた“ソーシャルネイティブ”である彼らは、これまでの世代の常識にはあてはめられない、独自の価値観を持ちます。そんなZ世代ならではの行動・価値観を、Z世代を研究するコミュニティ「イノベーションチーム dot」が、独自のエスノグラフィを用いて調査する本連載。今回はこれまでの総括として、コロナ禍で変化したZ世代の価値観について探ります。

エスノグラフィ×アンケートで「Z世代独自の価値観」を探る

 本連載では、「Z世代」独自の行動・価値観を明らかにすべく、Z世代の1日をモニタリングする「dotグラフィ」を実施。そこから得た仮説を、アンケートや「Z世代会議」を通して検証していきます(詳しい調査方法については、連載第1回をご覧ください)。

 今回のテーマは「コロナ禍で変化したZ世代の価値観」。コロナ禍における「お金の使い方、SNSの使い方、対人関係」について調査を行いました。

 まずは、Z世代のありのままをモニタリングするエスノグラフィを実施。dotメンバー数名に、1日そのメンバーで遊ぶことを想定して計画を立ててもらいました。

コロナ禍の今、Z世代が遊びの計画を立てるとどうなる?

 2020年12月3日、オンライン上で今回のエスノグラフィを実施しました。dotメンバー数名をZoom上に集めて「このメンバーで近い将来遊びに行くと仮定し、その計画を立ててください」というお題を出しました。計画を立てる様子を画面録画してもらい、それを後日チェック。変化したと考えられるZ世代の価値観を仮説にしました。

 録画映像を見てみると、メンバーが立てた計画は「茨城県のグランピングができる施設に行って、グランピングをしたい」というもの。グランピングの情報源はInstagramで、メンバーがフォローしているインフルエンサーが行っていた場所とのことでした。

 計画を立てる過程を見ていると、全体的にいくつかの特徴が見えてきました。

【特徴】
(1)「美味しいものを食べられること」が必須条件として最初に挙がっていた
(2)「動画を撮って編集して残したい」など思い出の残し方にまでこだわっていた
(3)キャンプ、釣り、湖など候補に挙がった場所は自然豊かな所ばかりであった
(4)人によって新型コロナウイルス(以下、コロナ)に対する考え方が違うことを意識して会話していた

 このエスノグラフィから見えてきた特徴は、コロナによるZ世代の価値観変化と結びついているのでしょうか? dotメンバーへの観察をヒントに「お金の使い方」「SNSの使い方」「対人関係」という3つの視点からZ世代の価値観変化ではないかと考えられる次の仮説を立てました。

【仮説】
(1)コロナ以前よりも一度にかける交際費が上がったのでは?
(2)コロナ以前よりもInstagramへの熱意が増しているのでは?
(3)人によって遊びの誘い方を変えているのでは?

 子どもの頃からSNSを使いこなし、世間的な炎上とまではいかなくても、身の回りでプチ炎上を経験した人も少なくないZ世代。人によってコロナに対する意識もまちまちな難しい現在を、Z世代はどのように過ごしているのでしょうか? Z世代会議でこの3つの仮説を検証します。

コト消費・モノ消費ともに「量」から「質」へ

 まずは、仮説1「コロナ以前よりも一度にかける交際費が上がったのでは?」についてです。

 dotメンバーに行ったエスノグラフィでは、茨城県まで行ってグランピングをするというかなり予算多めな計画を立てていました。また計画の過程で出てきた候補も、近場の短時間で済むようなものではなく、特別感のあるものばかりでした。コロナ以前にグランピングと言われると予算的に少しハードルが高いような気がしますが、金銭感覚に変化があったということなのでしょうか?

 普段のdotメンバーとの会話の中でも「わざわざ思い出に残るようなことをするようになった」「次いつ会えるかわからないから特別なことをしたいと思うようになった」という声をよく聞きます。コロナ禍におけるZ世代の金銭感覚にはどのような傾向があるのでしょうか?

さらに高まった「コト消費」の価値

 一般的に、娯楽や経験などのコト消費にお金をかけると言われているZ世代。コロナで思うように外出ができず人にも会えない今、コトに対して感じる価値はさらに高まっているようです。

大学2年生・Mちゃん
「普段はなかなか友達と会えないので、会える日を大切にしています。会える日はできるだけ長く一緒にいようと思います。1日で見たら相当な金額を使っています」

大学4年生・Tくん
「コロナでみんなお金が貯まっていて金欠という人があまりいないので、人と会う時はコロナ前よりも値段を気にせずに過ごしています。普段会えないというのもあって、ファミレスでよくない? みたいな声は減りました」

大学3年生・Nちゃん
「人と会うことが特別なことになったので、お金の許容範囲は広がりました。前なら高いなって思っていたことでも、今はいいかなって」

 12名に話を聞いたところ、そのうち8名が「一度にかける交際費が上がった」と答えてくれました。なかでも食事にかける費用が上がったようで、24名に行ったアンケートでは7割以上の人が「人との食事の質が上がった」と回答していました。

「モノ消費」も量から質へ

 コト消費の価値は高まったことがわかりましたが、モノ消費に対する金銭感覚はどのように変化しているのでしょうか?

大学4年生・Tくん
「前よりもいい服を買うようになりました。大学がリモートになって毎日人と会うということがなくなったので量よりも質を大事にするようになりました」

大学4年生・Sちゃん
「質の良いものを買いたい欲が高まっています。コロナ中に断捨離をしたので、次から手に取るものは長く使えるものにしたい。人と会う頻度が減ったので、外に出る時に着る服は一回一回大事にしたいです」

 モノ消費も単価が上がったという声が多く聞かれます。特に服に対する意識の変化が大きく、人と会う頻度が減ったことで「量よりも質を大事にしよう」という人が増えたようです。

Z世代のお財布事情

 アンケートの結果からコト消費、モノ消費共に「質」を重視する傾向に変化していることがわかりました。一方で、大学生の生活費は年々減少傾向にあり、Z世代のお財布事情は厳しいと言われていたはず。またバイトも思うようにできず、収入はかなり少なくなっているのでは? と予想していました。実際のところZ世代の金銭面はどのような状況なのでしょうか?

大学2年生・Oちゃん
「自粛期間中バイトには行けなかったのですが、大学からの給付金とバイトからの助成金などがありお金は入ってくる状況でした。大学に行くこともなく交通費が浮き、コンビニなどでの無駄な出費も減ったのでお金はたまる一方でした」

大学2年生・Mちゃん
「お金の使い道がない中でバイトからの助成金をいただいていたので、コロナ前よりもお財布は潤っていました」

大学4年生・Tくん
「実家暮らしなのでコロナ前は主に外でお金を使っていました。それがなくなって、だいぶ貯金が増えました」

 一人暮らしなのか実家暮らしなのか、バイトを辞めたのか継続したのかなどで大きく異なりますが、全体的にはコロナで貯金が増えたという声が多いようです。また、消費の質は上がったものの、お金を使う頻度は著しく減っているので、全体的に使うお金の額は大して変化がないという様子です。

【発見1】
コト消費、モノ消費ともに量から質へ。お金を使う頻度が減ったので、一度に使うお金が増えている。

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この記事の著者

渋江 みのり(シブエ ミノリ)

1998年生まれ。青山学院大学心理学科4年。 2018年からdotで活動を始め、現在はdotのメディア部として活動中。大学卒業後、dotに入社予定。  

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2021/02/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35234

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