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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

スポーツ選手のインフルエンス力をビジネスに活かす秘策【平地氏×タグピク泉氏対談】

 プラスクラス・スポーツ・インキュベーションの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回はタグピクの泉健太氏と「スポーツ×インフルエンサーマーケティング」をテーマに、スポーツ選手のインフルエンサーとしての活用の可能性を様々な方向から探った。

Instagramでのインフルエンサーマーケティングの定石とは?

平地:今回、「スポーツ×インフルエンサーマーケティング」をテーマにお話を伺うのは、インフルエンサーを活用したPR支援などを行うタグピクでファウンダー兼取締役会長を務める、泉健太さんです。スポーツ選手、スポーツ関係のマーケターはもちろん、スポーツ選手をインフルエンサーとして活用したい一般企業のマーケターにも役立つ情報を届けたいと思います。

 まず、簡単に日本におけるインフルエンサーマーケティングの現状を教えてください。

泉:インフルエンサーマーケティングは、どのSNSに特化したインフルエンサーを活用するのか、またブランディングや獲得など目的によっても異なりますが、私どもが主軸としているInstagramのプラットフォームにおいては、企業の新商品の認知形成やブランドの生い立ち・ストーリーを伝える場所としてインフルエンサーを活用するパターンが一般的です。

タグピク株式会社 ファウンダー兼取締役会長 泉 健太氏
タグピク株式会社 ファウンダー兼取締役会長 泉 健太氏

泉:近年、オンラインのみで販売するD2Cビジネスの需要が伸びています。その中で、ダイレクトレスポンス型の広告にあるような機能面や価格面での訴求のみではなく、製品開発の裏側にある、作り手の想いや原材料へのこだわり、商品の生まれたブランド・ストーリーを正確に伝えていくための媒体人(メディア)としてのインフルエンサーの存在感は強まっています。そして、消費者の購買行動に与えるインパクトも大きくなっています。

 スポーツ選手でも、サッカー元日本代表の中田英寿さんが日本酒の魅力を伝えていたり、元サッカー日本代表でAuB(オーブ)の代表取締役を務める鈴木啓太さんが腸内環境を整える製品を世に届けていたりなど、自らが持つ影響力を活かしたビジネスを展開していますよね。これも立派なインフルエンサーマーケティングと言えます。

 Instagramは、特にF1・F2層が頻繁にアクセスするSNSなので、F1・F2層へのコミュニケーションでは欠かせないプラットフォームです。商品の属性にもよりますが、スポーツ選手が広告塔となってブランドを伝えていくことのできるインフルエンサーマーケティングは、非常に有効な手法の1つなのではないでしょうか。

スポーツ選手のインフルエンサー化、一番早いのはスポーツのテクニックの切り取り

平地:ここから「スポーツ」×「インフルエンサーマーケティング」について伺っていきたいのですが、もし泉さんがスポーツチームからインフルエンサー育成をお願いされたら、どのような提案をしますか。現状は有名選手を除くと、スポーツ選手がインフルエンサーとして活躍できているケースが少ないので、そのヒントを探りたいと考えています。

プラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社 代表取締役 平地 大樹氏
プラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社 代表取締役 平地 大樹氏

泉:まず難易度が低いところから始めるという主旨でいくと、コンスタントにコンテンツをアップしやすいのは、スポーツのテクニック系のものだと思います。サッカー選手であれば、ドリブルやリフティングなどで高度な技を動画に収めてInstagramやTikTokなどのSNSに投稿すれば、一定レベルまでのフォロワーや動画に対するエンゲージメントの獲得が期待できます。プロのテクニックを直接学びたいという視聴者は多いですよね。

 ただそのようなとっかかりやすい、真似される可能性もあるコンテンツは、中長期的にはさらに上のレベルの人が現れると差別化が難しくなってはきます。したがって、長続きさせることができるコンテンツであり、かつ、他の人がなるべく模倣できないオリジナルなコンテンツを考えないといけません。

 そこで重要になってくるのが、プロとして活躍している以外の非日常のプライベート的なシーンをうまく切り取ってコンテンツにしてあげることです。個人のSNSでの日々の練習風景や合宿でのチームメイトとの会話、食事の様子など、意外と普段みれない選手の裏側の一面は、ファンにとっては関心度の高いコンテンツの1つとなりえます。

 さらに、プライベートで行っている趣味を通じて、これまで見ることのできなかった選手の一面を見せてあげるのも1つの手です。できれば、その領域のコアファンが多いものが望ましいですが、たとえば女優の本田翼さんが、動画プラットフォームにおいてゲーム実況をするとそこから生まれたギャップ感が話題にもなりましたよね。スポーツ選手においても、競技以外のところでファンに驚きや新しい気付きを与えることができると、インフルエンサーとしての人気も付いてくると考えています。

平地:なるほど。ちなみに、そういった非日常の場面を切り取るときは誰が撮影したり編集したりするべきなんでしょうか。筋トレや食事をしている場面をアップできたらファンに喜んでもらえるだろうなとは思うのですが、なかなか選手個人で写真や動画を撮るのも一苦労な印象があります。

 有名な選手になるとマネージャーなどが帯同していて、そういった周りに撮影の手伝いができる人を雇えるんですが、ごく一部の選手のみというのが現状です。このコンテンツ作成のハードルを超える方法はあるんでしょうか。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/35379

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