SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2021 Autumn

時代を先行する独特の価値観がネクストヒットを作る “エクストリームなN1”が示唆する近未来トレンド

 次代のトレンドを捉えるなら、マスユーザーより先進的かつ独特な価値観を持つ生活者を調査すべし。それを実践しているのが、博報堂の社内ベンチャーであるSEEDATAからスピンアウトしたSDGだ。同社では、自らの哲学にのっとり極端とも思える行動をする先進的な生活者を「トライブ」と呼び、そのインサイトを分析してきた。9月8日に開催された「MarkeZine Day Autumn 2021」には、同社のチーフ・アナリスト林直也氏が登壇。独自の調査結果から導きだした最先端の消費者インサイトから、ネクストヒットを引き寄せるための考え方を語った。

少し先の未来を教えてくれる、先進的な生活者たち

 SEEDATAは、2015年に博報堂の社内ベンチャーとして生まれた「イノベーション創出支援組織」で、新規事業開発や商品開発支援などを行っている。そこからスピンアウトする形で2020年に生まれたのがSDGだ。

 同社では、近未来の生活者動向を予測するために、先進的な消費者グループ=「トライブ(TRIBE)」を独自のアプローチで発見・定義。性や年代ではなく、共通した価値観で人々をセグメントして、着想の源もしくは初期顧客の想定として活用している。

 「独特な価値観を持つトライブを観察・分析することで、商品やサービスの開発に示唆を与えるインサイトを得ることができます」(林氏)

 トライブとは、マスユーザーの多くが抱えている潜在ニーズや課題を、既に何らかの方法で解決している先進的な生活者のこと。

 マスユーザーは現状の生活に疑問を持っていない、もしくは疑問が顕在化してこないため世の中に対する不満を抱きにくい。反対にトライブは、現状の生活に対して「もっとこうしたい」という欲求と哲学を持っている。そしてその欲求を積極的に解決することで、より豊かな生活を実現している。

 彼らには独自の哲学や明確な行動理由があるので、価値観を浮き彫りにしやすい。一見それは個人的な嗜好のようだが、そのインサイトには、多くの人にも当てはまる気づきがある。だからこそ数年後には他の人にも共通した考え方や行動が波及して、同じ考えをもつ人が少し増えると予想される。

 しかし考え方が先進的すぎるがゆえ、現時点ではかなりエクストリームに見えたり、奇怪な行動に見えたりする。ただ、エクストリームユーザーでも先進的でないものはトライブとは呼ばない。

 「生活者は、それぞれ違うコンテクストの中で生活をしているので、具体的な行動は各人によって変わる可能性が高いと思います。ですが、多くの人が共通して持つであろう価値観については、トライブを対象にした調査でアプローチすることが可能だと考えています」(林氏)

 マスユーザーがぼんやり感じているけれど言語化できていない不満にも、トライブは敏感だ。そのためトライブをよく観察することで、マスポテンシャルのあるアイデアを発想することが可能になる。

トライブの行動から新しい価値観を見出す

 林氏はトライブの例として、まず「ドクターシューマー」を紹介する。ドクターシューマーは、完全栄養食品やサプリメントを摂取して、普段の生活の中でかなり科学的に体調管理をしている人たちのことだ。彼らは完全栄養食品やサプリメントを、日常生活の中で細かく摂取する。その理由を尋ねてみると、下記のような回答が得られたという。

 忙しい会社員などをイメージしてみてほしい。1日中、生産性高く仕事をしたいと考えていて、昼食時にパソコンの前で食事することもわずらわしいような人物。栄養は摂取したいが、満腹まで食べると眠くなる。その解決案として、1日の食事を8食に分け、プロテインシェイクのような完全栄養食で摂取しているのだ。

 これをトレンド分析に応用して、SDGでは「これからは栄養補給と時間短縮のみにフォーカスした“義務食”と、食事体験全体を重視した“娯楽食”に二極化するのでは」と分析。「既にある捉え方とも思えますが、未来のコンビニが提供するべき娯楽食とは? であったり、未来のレストランが提供する義務食とは? など、この捉え方をもとにしてアイデアを想像したり、発展させていくことができます」(林氏)と語る。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
他者に入り込まれない“出島時間”欲求の高まり

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
MarkeZine Day 2021 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/10/29 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37460

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング