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松井証券が動画サイトでのレビュー活用でファン化を実現。顧客との相互コミュニケーションが作る価値とは

 松井証券が2021年3月から運営する動画でわかる投資情報メディア「マネーサテライト」では、サイト活性化を主目的として、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」を導入している。レビューからは動画コンテンツ制作の示唆を得ただけでなく、当初の予想と反する意外な反響もあったという。今回は、松井証券とZETAの担当者に、導入に至った背景、活用により得られた成果などを伺った。

既存顧客に向けた「動画でわかる投資情報メディア」を開設

MarkeZine編集部(以下、MZ):本日は、松井証券が運営する動画でわかる投資情報メディア「マネーサテライト」において、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」をどのように活用しているかを伺っていきます。まず、「マネーサテライト」とはどのようなメディアであるか教えていただけますか?

小宮:私が所属する投資メディア部では、「投資を楽しく簡単に」というミッションのもと、投資に関わる様々なコンテンツの企画・制作・サイト管理・プロモーションなどを一貫して行っております。「マネーサテライト」はその取り組みの一つとして、2021年3月にオープンした“動画でわかる投資情報メディア”です。当社で取り扱っている株式や投資信託、FXなど、資産形成に関わる金融商品の情報をはじめ、日々の市況・マーケット情報、当社サービスのご案内や操作方法まで、幅広く動画で配信しています。

「マネーサテライト」トップ画面

MZ:なぜ動画メディアを作られたのでしょうか?

小宮:目的としては3つあります。1つ目は、証券営業を動画化すること。コロナ禍になったことや5Gが普及したことで、ネット動画を視聴する人が急増しています。これまではテキストメディアを中心に投資情報をお届けしてきたのですが、当社のメイン顧客である50~60代の方々も当たり前にYouTubeを見るようになってきていることから、動画でのアプローチにも注力していくことにしたのです。

 2つ目は、既存のお客様がより一層投資しやすい環境を作ることです。動画はテキストに比べて、短時間で多くの情報を届けることができると言われています。日々状況が変わる株式市場を迅速にかつわかりやすく動画として発信することで、お客様の取引を支援しています。

 3つ目が、サービス説明業務の効率化です。当社はネット証券なので基本的に対面での顧客案内は行っていませんが、コールセンターでお客様からご質問を受け付けています。ただ、やはり電話だと時間がかかりますし、市況によって問い合わせが集中してしまうことがあります。そのときに動画を見て解決できる方が増えれば入電数も抑えられ、業務効率化、代替化につながると考えました。

松井証券株式会社 投資メディア部 コンテンツプロデューサー 小宮将史氏

MZ:マネーサテライトの他に、YouTubeで「松井証券チャンネル」も運営されていますよね。これらは使い分けているのですか?

小宮:YouTubeチャンネルは若い世代を中心とした新規顧客の流入を目的に運営しており、投資初心者向けにおもしろく・わかりやすい動画を発信しています。一方、マネーサテライトは既存のお客様をメインターゲットとして、今取引するにあたっての有益な情報を意識して発信するという形で使い分けています。

松井証券の独自コンテンツで他社との差別化を図る

MZ:既存顧客向けの情報も、手厚く発信されているのですね。

小宮:そうですね。お客様が多く取引してくださることが私たちの収益にもつながりますので、口座を開設したあとのフォローも大事にしています。また既存顧客に対する情報を多く発信することは、新規顧客の獲得にも非常に重要だと捉えています。コロナ禍を機に、新規で株式取引を始める人も増えていますが、今や個人投資家の9割以上がネット証券を使っています。ネット証券もいくつかありますが、商品ラインナップや手数料などのコストで大きな差を付けづらい状況の中で、「投資情報提供」に重きを置いており、当社店内の取引データを基にした独自の動画を作ることで他社との差別化を図っています。

MZ:動画制作はどのように行われているのですか?

小宮:社内にスタジオを持っており、自社で収録や編集をしています。外部業者に依頼するケースもありますが、大半の動画は自社内で制作作業を完結しています。これによってオリジナルの情報を、鮮度の高い状態でスピーディーに提供できる体制になっています。今は1日平均3本の動画を公開しており、2021年度は1年間で1,000本ほど公開しました。

MZ:それはすごいですね。マネーサテライトで紹介した商品をそのまま購入できるような導線も作っていると伺いました。

小宮:はい。特定の銘柄を紹介した動画では、ページ内のボタンを押すとその銘柄の取引画面に行ける仕組みを2022年1月末にリリースしました。取引ツールへのアクセスやログイン、銘柄検索といった手間が省かれるため、動画を見て興味を持った銘柄の情報確認や注文を簡単に行うことができます。

カスタマイズ性・セキュリティ面が強みの「ZETA VOICE」を導入

MZ:2021年3月のサイトオープンと同時に、「ZETA VOICE」を導入されています。導入の狙いについてお聞かせください。

小宮:YouTubeのようにコメント機能があれば、相互にコミュニケーションが取れると考えていました。というのも、一方的な情報提供ではなかなかお客様のニーズや理解度がわかりません。動画視聴者の評価やご意見、疑問点を知ることができて、それを次に出す動画に活用していけるような流れを作りたいと思いました。

 もう1つは、いわゆる“バズる”動画ってSNSなどでもコメントがものすごく盛り上がっていますよね。それが要因となって動画サイト自体が活性化していく。そういう仕組みが必要だなと感じ、レビューエンジンを入れようと決めました。

MZ:では、実際に採用された「ZETA VOICE」の特徴について教えてください。

出張:「ZETA VOICE」は元々、海外の家電ECサイトのレビューなどから着想を得たものです。これまでのレビューエンジンは、たとえば5つ星評価とコメントというように、すべての商品が同じ項目で評価されていました。でも、たとえばエアコンだったら省エネ・空気清浄などの機能面が優れているか、テレビだったら画質が良いかというように、本来商品によって評価基準はまったく異なりますよね。そのため、同じサイト内でも、商品の種類によって評価軸やレビュー項目は変えるべきなのではないか?と思っていたのです。そこで、カスタマイズ性が高いレビューを作ろうと考えたのが「ZETA VOICE」の始まりです。

ZETA株式会社 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏

出張:また、レビューは商品購入時にお客様が参考にするだけではなく、企業側が今後の方向性を考える参考になるものとしても価値があるので、その方向に成長していきたいと考えています。

 松井証券様からお話があったときも、いろいろなコメントの形式があって求めている形にカスタマイズができますということと、成長速度の早いサービスなので「こんな機能が欲しい」というご意見に対しても柔軟に検討し、「いつ頃までに実装します」とお約束をして、一緒に開発を進めていっています。そこが評価をいただけているポイントの1つかなと思います。

「ZETA VOICE」の活用イメージ。商品に合わせて評価項目を自由にカスタマイズすることができる

市川:加えて、「ZETA VOICE」の管理画面は直感的に使えるUIとなっているので、そういった使い勝手の良さも強みであると考えています。また松井証券様は、他社様のECサイトと比べるとセキュリティ面を厳しく見られていたことが印象的でした。当社は長年様々な業界の商材・サービスに関する多くのデータから特性に合わせた最適な結果をご案内する“精度の高い検索エンジン”を提供しており技術やノウハウが豊富であるのはもちろんのこと、提供している全てのソリューションはセキュリティにも十分配慮した製品です。そこが評価いただいたポイントなのかなと思っています。

ZETA株式会社 セールスグループ マネージャー 市川敬貴氏

小宮:そうですね。金融機関ですのでかなりセキュリティやリスク管理についてはヒアリングさせていただきましたが、きっちり要件を満たしていたので、導入までとてもスムーズでした。管理画面もとても使いやすいです。直感的に作業できますし、初めて対応する者が操作するときもマニュアルがほとんど必要ないくらいわかりやすいUIだと感じています。

MZ:導入の目的として、「レビューを動画制作に活かしたい」という点を挙げられていましたが、実際に活用はされていますか?

小宮:使っていますね。以前、解説時にとある専門用語を使った際、「そもそも○○という用語がわからない」というコメントをいただいたことがありました。そこで、その用語の説明を次の動画の冒頭に入れてみたら、同じ方らしきアカウントから「よくわかりました。ありがとうございます」とコメントをいただけました。こういったお客様との相互コミュニケーションは当初から一番の目的だったので、積極的に行っています

レビュー・コメント機能はファン化にもつながる。導入の副次的効果

MZ:「ZETA VOICE」導入の成果は、どういったところに表れているでしょうか?

小宮:レビューの件数自体は正直まだまだですし、相互コミュニケーションはもっと活性化できる余地があると感じます。ただ、先ほども申し上げたように疑問点を書いていただくことや、最近では取り上げてほしいテーマについてご意見いただくことが多くなっています。

 たとえば、「高配当株」や「EV」をテーマにした動画を発信したところ、「メタバース関連の銘柄を取り上げてほしい」とか「アフターコロナの外食関連株を取り上げてほしい」といったコメントをいただきました。実際にそれを反映した動画を出してみると、かなり再生数も上がりました。お客様のご意見を基に作った動画がやはり跳ねる傾向にあることもわかってきました。

 意外な反応だったのが、動画出演者個人へのコメントが結構あるということです。「○○さんの解説は独自性があってわかりやすい」などですね。こういうコメントは動画自体の盛り上がりにもつながりますし、出演者のモチベーションにもつながります。こういった「ファン化」の効果があるとは正直思っていなかったので、意外な成果ですね。

「マネーサテライト」に寄せられたコメント例

MZ:では最後に、今後の事業の展望と、その中で「ZETA VOICE」をどのように活用していきたいかをお聞かせください。

小宮:方針は変わらず、当社のお客様に役立つ投資情報の提供を続けていくとともに、レビュー機能、コメント機能を使うことで当社コンテンツのファンになってもらえる活用を続けていきます。もちろん動画の再生数としてももっと増やしていきたいと思います。今ZETA様にはコメントに対してユーザー同士で返信できる機能をご提案いただいているので、そういった機能も追加しながらさらなる盛り上がりを生んでいきたいと考えています。

MZ:ZETAとしては、今後どのようにサポートを行っていきたいとお考えですか。

市川:今日のような会話を通してご要望をどんどんヒアリングしていきます。ご要望に対してアップデートを随時行っていけたらと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

出張:今小宮さんがおっしゃったコメント返信機能はもちろん実装に向けて動いていきますし、サイト内の回遊性を上げるための工夫についても課題感としてお持ちなので、たとえばレコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」も併せた使い方を考えながら、お役立ちできる場所を増やしていきたいなと思います。

▼ZETAが提供するECマーケティング・リテールDXを支援するソリューション「ZETA CXシリーズ」の資料は資料ダウンロードページよりダウンロードいただけます。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/13 10:00 https://markezine.jp/article/detail/38606