データ保護の潮流・YouTubeのポリシー変更も無視できない
石瀬:ユーザーレベルIDを用いたマイクロターゲティングは、技術的に制限が進んでいます。動画コンテンツもこの流れと無関係ではいられません。フリークアウトとして、新しいターゲティング技術を持つというのは、会社全体としての方針でした。
また、2021年6月に実施されたYouTubeのポリシー変更も、GPのさらなる機能開発につながっています。いくつか変更があったのですが、その中の一つに「新規で作成されたチャネルにおいても広告が配信されることになったこと」が挙げられます。
新規のチャネルは、コンテンツの実績もなければ、そのチャネルの継続性もわからず、質に対する信頼度が著しく低い。つまり、新規チャネルの動画コンテンツへの広告配信は、ブランド毀損リスクが上がることを指しています。そのことで、「ブランドセーフティの機能によって、確実に日本語コンテンツが理解できるエンジンで作るべきだ」という決意が生まれました。
GPは「まさに最適なプロダクト」だった
石瀬:続いて、森田さんがGPの採用に至った経緯を教えていただけますか。
森田:まずは、クライアントから「確実なターゲットに届けたい」というリクエストが日々増していることがありました。加えて、自分自身が実体験で感じたジレンマを解決したいと思いつつ、その問題をどう解決していくのかを模索していました。
というのも、主流であるアフィニティターゲティングでは解決されない問題であり、さらに、石瀬さんがお話しくださったように、Google Chromeにおいても2023年までにサードパーティCookieが廃止されるなど、ユーザープライバシー保護の観点から広告業界は潮目にあります。オーディエンスベースでの配信が今後は衰退し、Cookieレスでの提案がマストとなっていく中で、YouTubeにおいてコンテクスチュアルターゲティングを可能にするGPは、まさに最適なプロダクトでした。
導入事例では「広告を見た」との回答が約8割
石瀬:実際にGPを導入した代表的な事例に、スポーツブランドを展開しているコンシューマーブランド企業さまのキャンペーンがありますね。
森田:はい。リクエストは「実際にその商材を使用して競技をしている若年層に対して確実に広告を当てたい」というとても難しいものでしたが、GPで実現できるのではないかと考えました。具体的には、キャンペーンに合わせたYouTubeのコンテンツを厳選して選定し、コンテクスチュアルに当てたキャンペーンを提案し実施しました。
キャンペーン後の成果を測るため、第三者の調査機関を通してターゲットにしていた若年層へアンケートを実施したところ、なんと「知っている」「広告を見た」との回答が約8割もありました。また「どこで広告を見たのか?」の質問に対しても、GPを介して配信を行った YouTube*との回答が圧倒的に多かった結果となりました。当初、難しいリクエストで不安も多かったキャンペーンでしたが、この結果を受けて「やってよかった!」と心から思いました。
*本キャンペーンのYouTube出稿はGPを介してのみ実施したキャンペーンとなります。2022年4月
石瀬:今回はクライアントさまと直接お会いして、要望を細かく伺えたことと、森田さまのクライアントの意図を汲み取ったブリーフィングのおかげで私もチームメンバーもスムーズにプランニングを行うことができました。
GPの強みでもありますが、今回はブランド毀損のリスクを徹底的に排除することに加え、要望に沿ったコンテキストのプランとユーザーが持つ競合製品とのマインドシェアをどう取れるか、にフォーカスして検討しました。これらを実現するには従来のオーディエンスターゲティングでは限界があり、コンテクスチュアルだからこそ、このような成果が得られたのではないかと思います。