※本記事は、2022年11月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)83号に掲載したものです。
【特集】Web3、メタバース、NFT──最新技術がマーケティングに及ぼす影響
─ 「web3とは何か?」をビジネスの文脈で理解する──企業が捉えておくべき変化
─ メタバースで消費行動・ビジネスはどう変わる?仮想空間で問われる「サービスの本質的な価値」
─ “共創”で目指すメタバースの実現。Metaのメタバース事業の現在地、マーケティング活用の可能性とは
─ メタバースの本質は「放課後」のような居心地の良い場所作り
─ たとえば、こんなこともできるはず! 現時点で考えられるマーケティング×NFTの選択肢(本記事)
─ 広告業界ではもはや常識に。テクノロジーの最適活用に不可欠な「テクニカルディレクター」とは
新技術を生活や顧客体験に落とし込んでいく
──はじめに、佐野さんの所属するミライの事業室について、どのような組織なのか教えてください。
ミライの事業室は、博報堂の中で新規事業の開発を担っている部門です。新規事業開発には大きく2種類あり、博報堂の自社の新規事業を創出するというものと、外部のパートナー企業と一緒に新規事業を共創するという取り組みがあります。私が担当しているのは後者のほうで、昨年の8月に始動したプログラム「Hakuhodo JV Studio」を運営し、パートナー企業と共に新規事業共創に取り組んでいます。
──博報堂は、日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network(※1)」を開発するStake Technologiesの渡辺氏と共に、企業のWeb3市場参入を支援する新会社を設立すると発表しました。博報堂内でこれを主導しているのがミライの事業室です。新規事業創出を手掛ける上で、ミライの事業室はWeb3などのテクノロジーが及ぼす影響をどのように見ていますか?
Web3の領域は世界中の企業が注目している成長分野の一つであり、ミライの事業室でも重点領域としています。Web3が国家の成長戦略の柱として取り上げられたこともあり、日本でも多くの企業が注目し始めていますが、現状、「Web3が自社のビジネスにどう影響するか?」というところまではみなさんイメージできていないのではないかと思います。実際に、Web3に関してはエンジニア界隈で盛り上がっている印象が強く、Web3の技術が実生活を変えたというような事例はまだそんなに多くありません。技術が生活や体験に落ちてくるという次のフェーズがまさに今進行しつつあると思っています。
その際、重要になるのが博報堂のフィロソフィーである「生活者発想」です。とりわけ、企業のWeb3領域への進出となると、生活者視点に企業のビジネス課題や市場ニーズなども掛け合わせて考える必要があります。Astar Networkとの協業においては、彼らにWeb3の最先端の情報や技術を共有してもらいながら、生活者視点でのアイデア・発想を企画に落とし込む部分をミライの事業室が担う形で動いています。
※1 Astar Network:CryptoGamesが開発する⽇本発のパブリックブロックチェーン。日本の大手企業やIPコンテンツと連携しやすい環境にある。