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キリンビール公式noteの仕掛け人が教える、企業のオウンドメディアで重要なこととは?【お薦めの書籍】

 企業が様々な方法で情報発信や顧客との接点作りができる今、オウンドメディアを活用する理由とはなんなのでしょうか? 本記事では、企業のオウンドメディアについて運営ノウハウなどを解説する書籍から、トヨタ自動車の「トヨタイムズ」やユニクロの「Lifewear Magazine」を例に挙げ、企業のオウンドメディアが担う役割について紹介します。

なぜ今、オウンドメディアなのか?

 今回紹介する書籍は『ステークホルダーを巻き込みファンをつくる!オウンドメディア進化論』(宣伝会議)。著者の平山高敏氏は「キリンビール公式note」を立ち上げ、同社のコンテンツ企画・コミュニケーション戦略を担っています。

『ステークホルダーを巻き込みファンをつくる!オウンドメディア進化論』平山高敏(著)宣伝会議 2,200円(税込)
『ステークホルダーを巻き込みファンをつくる!オウンドメディア進化論』平山高敏(著)宣伝会議 2,200円(税込)

 2019年にトヨタ自動車の「トヨタイムズ」やユニクロの「Lifewear Magazine」が立ち上がるなど、ここ数年でオウンドメディアへの関心が高まっています。本書の冒頭で平山氏は、オウンドメディアを「企業が獲得したいイメージを貯める場所」と表現しました。

 では、多様な媒体・形式で発信ができるようになった現在、なぜオウンドメディアが注目を浴びているのでしょうか?

オウンドメディアは「企業主語」から「社会主語」へ

 オウンドメディアは2010年代、スマホやSNSの普及とコンテンツレコメンデーションやネイティブ広告の広がりにともなって急増しました。しかし運用コストや成果の曖昧さ、バズを狙うがゆえのコンテンツの同質化など課題が徐々に浮き彫りに。結果、多くのオウンドメディアは2010年代末には縮小や閉鎖を余儀なくされました。

 しかし昨今、再びオウンドメディアへの注目が高まっています。背景には、SDGsや国際問題をはじめとする社会課題への人々の意識の変化が挙げられます。SNS上では個人間での議論が活発化し、若年層を中心に企業の社会貢献活動や姿勢にもよりシビアな視線が向けられつつあります。

 このような状況の中企業は、広告や公式サイトでは発信しきれなかった情報を補完し、自社の活動やプロセスを自分たちのメッセージとして発信する場として、オウンドメディアを選ぶことが増えています。発信内容も、かつてのニーズや流行に則った一過性のバズを狙うコンテンツではなく、社会的な視座に立ったメッセージや企業活動を担う人たちの実際の声を誠実に届ける方向性へと変わってきました。

 こうした変化について平山氏は「発信内容の起点が『企業・商品』だったものが『社会・個人』になっている」と述べ、近年のオウンドメディアにおける新たな潮流を指摘しました。

オウンドメディア運営に重要な「2つのアプローチ」

 また平山氏は、オウンドメディアは以下の2つのアプローチ(機能)を併せ持つといいます。

マーケティング的アプローチ:共感性の高いコンテンツで個人のファンを増やす

コーポレートコミュニケーション的アプローチ:コンテンツを通じて獲得したい自社イメージを積み上げる

 この2つの機能から、オウンドメディアの目的と役割は多様に広がってきています。たとえば「トヨタイムズ」「Lifewear Magazine」は「自社のミッションを伝え、企業好意向上やブランディングを目的にしたメディア」と平山氏は指摘。他にも、自社認知に課題のある企業はその拡大、BtoBならリード獲得、ユーザーコミュニケーションやQ&A的な役割、採用などが挙げられます。

 平山氏自身もキリン公式noteを立ち上げた理由として、「プロダクトの広告では伝えきれない、『社会の一員』としての立場からのメッセージを伝える」ことだと説明。加えて公式noteが「ファンからより愛着を持っていただくこと」や「従業員やこれからキリンで働きたいと思っている人にとっても必要なコンテンツ」となることも目的にあると述べました。

 このように目的が多岐に広がるオウンドメディアですが、「共通して大切なことは、目的に応じたメッセージを通してどんなコミュニケーションを発生させたいかを明確にすること」と平山氏は強調。ここでのコミュニケーションは、以下の3点を指します。

・コンテンツに触れた人がどんな感情を抱くか

・実際にSNSでどんな発話がされるか

・近くにいる人にどんな風に伝えられそうか

 したがって、目的問わずこれら3点を明確にすることが、オウンドメディアを運営するうえでは重要だと平山氏は述べています。

 本書では、オウンドメディアの始め方から長く続く運営の仕方、企画やコンテンツ作りの型、評価のポイントまでを解説した一冊となっています。オウンドメディアの立ち上げを検討している方や企画・運用に悩んでいる方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41371

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