マーケティングにおける体験価値を軸としたフレームワーク:4Eの概念
前回の記事「人に話したくなる体験価値創造の3つのカギ「行動メタファー」「擬人メタファー」「舞台メタファー」とは?」では、3つのレイヤーごとのメタファーを使用した発想法をご紹介し、体験とは何か? 体験を作るということは何を意味するのか? を説明しました。
そもそもマーケティングにおける体験の位置付けは大きく変化しています。今回は、それを理解していただく為に、これまでの4Pフレームワークとは違う、4Eの概念とこれからの視点を説明しておきましょう。
Product:製品 | Experience:体験 |
Price:価格 | Exchange:交換・共有 |
Place:流通 | Every place:どこでも |
Promotion:プロモーション | Evangelism:伝道 |
「モノ」から商品と一緒に付加価値を提供する「体験」へ これからの視点は「つながる」
まず4Pの「Product(製品)」を売ることにおきかわる、4Eの「Experience(体験を売る)」という考え方について説明しましょう。これは平たく言うと、「コト、あるいはコト付きのモノを売る」ということです。たとえば、ある有名なコーヒーチェーンブランドはコーヒーを売るのではなくて「居心地や場」まで含めた体験を売っていると言われます。
このようにモノに付随した世界観や場所、時間までも売るという付加価値の提供をし、ブランドの世界観やストーリーに共感され、ファンにまでなってもらうことが重要になってきます。そのためには、生活者が商品を買い、使うことでどのような素敵な体験を提供できるか?の視点を持つ必要があります。
さらに最近のデジタルが大前提になった世界では、「いつもつながり続ける」という視点が新しく出てきていて、注目すべきテーマになっています。これはオンラインとオフラインを融合させるOMO(Online Merges with Offline)という考え方で、オンライン/オフライン関係なくシームレスな体験を提供し、愛着を持ってつながり続けてもらえるか?を重要視する領域に入ってきます。
ここで鍵となるのが「行動データ」です。生活者の行動データを集めていくためにも、生活者にとって、便利・使いやすい・楽しいなどといったUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供する必要があります。
そのようにしてサービスが何度も使われることで得た行動データをさらに良いカタチで生活者に還元していくという“いい関係”のサイクルをつくり出し、愛着を持ってつながり続けてもらうことが、今後の体験型のビジネスの大きな鍵になります。