近未来ではなく現在進行形、ゲームが生活の一部に
MAD MAN REPORT用語で「軽いデータ」側にあるとされながら、今後大きく化けると考えているのが「ゲーム」産業だ。「ゲーム(GAME)」の意味をかなり広く捉えて、「eスポーツ」や、課金(報酬)から派生する「BtoB金融」まで作用する分野として見てみよう。
1日当たり2時間以上にもなっているスマホ接触時間の内訳は、SNSアプリが幅を利かせるだけでなく、「モバイルゲーム」が可処分時間を浸食しているのではないか。米国の統計調査で、「約1割の人が週に20時間以上スマホゲームに時間を使っている」「約4割の人が週5時間以内(毎日1時間程度)スマホゲームをしている」というデータもある(出典:statista)。
たとえば、日本の通勤時の電車や駅で8割の人がスマホ画面を見ているとして(7割か6割かはさておき)、そのうち何割かがSNSを利用し、何割かがゲームを楽しんでいる。今後出てくる後追いの調査データよりも、その量がこの2〜3年で激増しているという読者の今の肌感覚を大事にしたい。ゲームが生活の「一部」となり、様々な分野への「入り口」として間口を広げているはずだ。
ゲームを入り口に、その先で待ち構える金融ビジネス
これらは現在の「ゲーマー」に閉じた話題ではない。ゲーム感覚が広く延長され、旧来の生活や仕事がオンライン上で資産価値を形成していく可能性がある。あたかも、人生がゲームかのように、リアルとオンラインの境界線を塗り替えていく、「アップセル」のイメージだ。
たとえば、スマホゲームを窓口とし、「医療費が安くなるよ、保険が受けられるよ、口座に課金報酬が貯まるよ、納税は義務よ」と、保険や銀行口座とマイナンバーとの紐づけにつなげることも考えられる。これは決してオレオレ詐欺的なお誘いではなく、金融の利便性が紐づくならば、とユーザー自身が喜んで提供するファーストパーティ・データになる。
このとき、現在の日本のSNSやゲーム上の匿名主義は「足かせ」になる。ゲーム分野が医療や金融の「重いデータ側」と結びつく際、データが匿名のままだと進化は限定的だ。
ゲーム分野の広がりを考えるヒントは、“今の”ゲームの外側にある。「Roblox」や「Candy Crush」などのいわゆるゲーム、「ニンテンドースイッチ」「プレイステーション」などのコンソール機、さらには「あつ森」など日本に閉じている“慣れ”の事業発想の外側だ。たとえば、近年ゲーム市場への投資を拡大させているMicrosoftにしてみれば、Office360やChatGPT/Bing、Excelの関数機能すらも、ゲーム要素を持つアカウント入り口用のアプリとも考えられ得る。