1人の思いが周囲を動かした『セルフチェックイン』プロジェクト
──具体的に携わられたプロジェクトについて教えてください。柴田さんが企画した『セルフチェックイン』とは、どのような機能なのでしょうか。また、立ち上げたきっかけを伺えますか。
柴田:『レストランボード』にある『セルフチェックイン』は、飲食店の配席を行う機能です。来店したお客さんに店頭のアプリを操作していただくことで、無人で席の案内が行えます。
これを提案したきっかけは、日々飲食店の方々と話していく中で「コロナ禍で雇用を減らしたが、客数が戻ってきたので人手不足となり業務が回らない」という声を聞いたことにありました。その時に、無人で効率的に配席できる機能があれば解決できると考えました。
──どのように周りを巻き込んだのでしょうか。
柴田:既存の業務もある中で、人手を確保しなければなりません。まずは、チームの業務にムダがないかを見直し業務改善を行いました。余力を捻出してプロジェクトを動かした形です。
──社内からの応援の声はありましたか。
柴田:はい。プロジェクトの構想をメンバーに話したら、エンジニアの1人が自主的にアプリを作ってきてくれました。当社には“新しいサービス・価値を創りたい”という気持ちを持って、アイデアにどんどん参加してくれる人が多いように思います。
──その後、どのようにして進めていったのでしょうか。
柴田:草の根活動のように周囲に伝え、ニーズや価値を理解してもらうようにしました。地道にヒアリングをし、説明するためのデータを集めました。また、それを社内でも積極的に共有していきました。
ある程度課題が明らかになってきたところで、MVP( Minimum Viable Product)を作り、今回の機能に共感してくださった飲食店でユーザーテストを行い、機能としての精度を高めていきました。
たとえMVPであっても、開発・リリースは承認に時間がかかったり、承認自体が下りなかったりすることもあります。しかし今回のプロジェクトでは、開発の範囲とリスク・対策を明確にし、その範囲から出ないことを約束することで、ある程度は自分自身で判断しながら進められました。
今後は、まだご利用いただけていない飲食店の方にも利用いただけるよう、このサービスを磨いていけたらと考えています。
徹底的な顧客理解から踏み切った方針転換。『knowbe』立ち上げの裏側
──岩田さんの手掛ける『knowbe』についても聞かせてください。どのようなサービスなのでしょうか、また、どのようなきっかけで立ち上げたのでしょうか。
岩田:『knowbe』は、障がい福祉事業所向けの支援サービスです。
当初は障がい者の方の就労支援を目的としたeラーニングサービスでしたが、現在は方針を転換し、障がい福祉事業所向けの業務支援サービスとなっています。
構想のきっかけは、友人がメンタル不調で会社を休職しまして。そこから「障がいがあることで、働きづらさを持っている人が、自分らしく働けるためにはどうしたら良いか」ということへの関心が強くなりました。多くの専門家の方や、障がい福祉事業所などの施設の方々にも話を聞いていく中で、福祉業界にも、業界の皆さんが解決したいと考える課題がたくさんあることがわかりました。
──どのように立ち上げていったのでしょうか。
岩田:まずリクルートの新規事業提案制度である、Ringに提案しました。開発の承認を得たのが2016年10月で、半年ほどかけてeラーニングサービスをリリースしました。
ご利用いただいた事業者様からは、ありがたいお声をいただけたものの、事業所あたりの利用者は数名程度にとどまっていました。このことから、より多くの方をご支援できるような方法が必要だと思うようになりました。
検証を重ねていくと、多様な利用者さんに向き合っている職員の方々が、煩雑な事務作業に時間を取られ、十分なサポートを行えない環境にこそ課題があるとわかり、方向転換を決意しました。