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ポストCookie時代の本格到来を乗り越える

エン・ジャパンがポストCookie時代に注力する「調査」 立ち返るべき4Pと顧客の声

 2024年は各種ブラウザでのCookie規制が加速し、ここ数年で特に大きな改革が進むといわれている。エン・ジャパンでは国内でもいち早くこの対策に動いてきたが、直近ではプロモーションにおける代替手段の獲得にはあえて注力してこなかったという。同社の執行役員でマーケティング部長を務める田中奏真氏に取材し、ポストCookie時代の本格到来を乗り越えるための視野の広げ方、具体的な取り組みのヒントを探った。

マーケティング投資額は約200億円 組織の多角化を進行中

──まずはこれまでのご経歴と、現在取り組まれていらっしゃる業務の内容を教えてください。

田中氏
エン・ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング部長 田中奏真氏

 執行役員を務めるとともに、マーケティング部の部長としてエン・ジャパンが運営する7つの求人サービスのマーケティングを統括しています。入社当初に営業を3年ほど経験し、その後15年はマーケティングに従事してきました。

 現在、主に注力しているのはマーケティング組織の拡大です。マーケティングの領域が広範化・高度化・複雑化するなか、当社でもその担い手や外部パートナーの増強がやはり必要になっています。実際に2009年の時点ではわずか7名だった組織が、現在は70名以上になっており、また外部パートナー企業の数も前年比2倍まで増えています。

──マーケティング組織としてはどのように変化してきているでしょうか?

 2009年時点では外部に依存したデジタル広告が主軸で7名の体制でしたが、2017年にインハウス化にトライし始め、現在はCTV/OTT広告に注力しています。さらにプロモーションという枠を超えて、プロダクトの改善にまで着手しています。

組織の変化

 当社の求人サービス事業は順調に成長しており、2023年度で売上規模は677億円、マーケティングの投資額としては年間で約200億円となりました。このように投資が大規模であるほど、今回の本題であるCookieレスによって今後膨らむコストは大きくなると考えられます。我々マーケティング組織が直近行ってきた担当領域の拡充や体制の強化もCookieレスが一つの要因といえます。

「Cookieの単なる代替」よりも「調査」が事業成長につながる

──2024年の後半にはGoogle ChromeのCookie利用が全面的に廃止される予定となるなど、今後サードパーティーCookie利用規制がこれまで以上に加速しています。これにより、多くの企業で広告配信計測の新たな方法を模索する必要性が高まりました。これまでも対策を講じられてきた貴社ですが、広告主としてこの状況をどのように捉えていますか?

 Cookieの代替手段を探す必要性は高まっているのは間違いありません。しかし当社としては、この状況に抗うことはできないと判断し、より優先順位の高い施策に注力する方針へと舵を切りました。現在取得できているファーストパーティーデータの分析や活用、そのデータを構成する顧客の声を自ら調査しにいくこと。その重要性に気づけた良い機会だと考えています。

 Cookieを活用して集客をすることも成果につながりますが、事業を成長させるマーケティング活動という広い視点で見れば、集客プロモーションを効率化する一つの手段でしかありません。ユーザーが集まっても、サービスに満足していただけなければ結果的に広告の価値は薄くなってしまうとも考えられます。だからこそ、定期的に利用いただいている方や、利用を始めたもののすぐに使わなくなった方が持つ行動の理由は何なのかを調査することのほうが、当社が今後成長するためには重要です。広告の管理画面を見るよりも、目の前のユーザーを見るほうが、本質的なマーケティング活動につながると思います。

──貴社では、顧客から同意を得てデータを取得し、活用する仕組みづくりに早くから取り組まれてきました。約2年前のイベント登壇ではこうした土台づくりについてうかがいましたが、それからの具体的な取り組みについてお教えください。

 土台づくりを経て、ここ2年で最も注力してきたのは、定性的なリサーチと、それに基づいたプロダクトの改善です。

ポストCookie時代の本格到来を乗り越える

─ エン・ジャパンがポストCookie時代に注力する「調査」 立ち返るべき4Pと顧客の声(本記事)
ポストCookie時代、企業が取るべき対応や代替手段は?現状とこれからを概観する
ポストCookieはCPA偏重脱却のきっかけ 博報堂DYMPのプランナーが語る対策の分かれ道

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この記事の著者

高山 透(コウヤマ トオル)

フリーカメラマン。雑誌の撮影などを主にしています。最近では、webの撮影も多くなってきました。日々の生活は、朝タブレット端末をながめながらコーヒーを飲み、のんびり1日が始まります。 休みの日は、新宿御苑に行ったり、子供と遊んで過ごしています。webサイト

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45150

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