キッコーマン食品の事例に学ぶ、Z世代に刺さるポイント
2つ目に紹介されたのは、キッコーマン食品の事例だ。一人暮らしをスタートするZ世代に、「初めて購入するしょうゆにキッコーマン食品を選んでもらいたい」という思いから、同社はマイナビと共同でプロモーションを行った。
「キッコーマンの『しぼりたて生しょうゆの魅力』みんなに広めよう!プロジェクト」と名付けたこの取り組みを進めるにあたり、当初キッコーマン食品が考えていた訴求ポイントは「しょうゆの新鮮さとまろやかさ」だった。中西氏は「PR方法を考えていく中で、Z世代に刺さるポイントがまったく違うことがわかりました」と振り返った。
プロジェクトではマイナビコミュニティの大学生がキッコーマン食品の広報チームと連携し、ワークショップを通じてアイデアを出し合った。しかし「学生からあまり意見が出ない」という課題が生じたという。
中西氏は、学生と社会人では共通言語が異なるために聞きたいことがうまく引き出せなかったと分析し、「このような場合、大人側が欲しい回答を誘導する危険性もあります」と落とし穴を示した。そうした際は、日頃から学生とともにコンテンツを作成しているマイナビが間に入って意見を聴取する。「Z世代からどう話を聞き出すかは重要なポイント」と中西氏は指摘した。
プロジェクトで生まれたアイデアをマイナビがまとめた結果、「シェア率・保存期間の長さ・適量利用」というポイントがZ世代に刺さることがわかった。
「もちろん、しょうゆの新鮮さやまろやかさは重要な要素です。ただ、それ以上にまず手に取ってもらう必要があります。何がフックになり得るかは、Z世代当事者に聞いてみないとわかりません」(中西氏)
若年女性向け大規模ファッションイベントで実施した、Z世代向けプロモーション
今回のプロジェクトも貝印の事例と同様に、Webコンテンツで発信を行った。さらに、2023年にマイナビが特別協賛をした若年女性向け大規模ファッションイベントでプロモーションを実施。会場に、SNSの拡散を狙った“ニューレトロ”をコンセプトとしたブースを展開した。
ブースでは、PRポイントの一つ「適量利用」を実際に体験できるカップ寿司も用意。現地に訪れたZ世代に「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」を垂らして食べてもらった。この施策では写真撮影・SNS投稿を条件にしており、拡散につなげていった。
オンライン施策ではSNSの拡散だけでなく、マイナビが展開するメディアに現地レポートをタイアップ記事として掲載した。リアル・オンライン両軸でのプロモーションで、Z世代に対するキッコーマン食品の認知度が高まったという。
現在、マイナビでは高校生をメインに1万人以上の会員が所属する「マイナビティーンズ」や、大学生が所属する「ガクラボ」というコミュニティを運営している。「ガクラボ」を卒業したOB・OGともつながりがあるため、現役学生だけでなく若手社会人の生の声も聞くことが可能だ。
嶺岸氏は、マイナビのZ世代向けソリューションについて「課題整理・ユーザーインサイト分析などの上流工程から、Z世代との企画共創・実現化・自社メディアでの情報発信・広告施策の運用に至るまで、一気通貫で支援を行えることが特徴です」と語り、セッションを締めくくった。