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花王からキリンへ「ヘルシア」ブランド譲渡 “エモい”広告の真意と長年愛されるブランド作りの姿勢を問う

事業譲渡の直前になぜ?手書きのメッセージ広告

──ブランド譲渡前に展開したメッセージ広告の概要を教えてください。

長谷川(花王):2024年7月10日〜24日の期間、花王が本社を置く茅場町駅とキリンビバレッジが本社を置く中野駅を結ぶ、東京メトロ東西線車内にメッセージ広告を掲出しました。

東西線の車内に展開されたメッセージ広告
東西線の車内に展開されたメッセージ広告

長谷川(花王):「ヘルシアリレー企画」と名付けて、バトンを渡すイラストとともに「大切なヘルシアのことを何卒よろしくお願いします。」「いつも生活の中でお客様と一緒にいるヘルシアであり続けてほしいと願っています。」など、ヘルシアに込めた想いを花王社員の直筆メッセージで表現しました。このクリエイティブを通して、花王からキリンにブランドが引き継がれることを伝える狙いです。

──電車の広告に加えて、Xやオウンドメディアで事業譲渡への想いを発信されていましたね。

長谷川(花王):あえて、両社のやり取りや引き継ぎの様子が見えるようにしました。メッセージ広告ではXを中心に発信して、他にInstagramとFacebookも活用しました。またキリンビバレッジさんにも、本社のある中野駅構内にメッセージ広告を掲出いただきました。

ヘルシアのバトンを受け取るイラスト
キリンビバレッジの本社がある中野駅では、ヘルシアのバトンを受け取るイラストとともに、手書きのメッセージが掲出された
(クリックすると拡大します)

 その他、両社のnoteでも想いを伝える記事を公開し、XやInstagram、Facebookで告知しました。

「ブランドを引き継いでくれてありがとう」反響に安堵

──事業譲渡を印象深くするようなプロモーションを行った狙いは何だったのでしょうか?

長谷川(花王):ヘルシアを愛してくださっているお客様に、会社が変わってもブランドの想いや機能性は変わらないことをお伝えしたかったからです。

 事業譲渡と聞くと、ビジネスライクに見えたり、場合によってはネガティブな印象を持たれたりするかもしれません。また、ヘルシアをほぼ毎日継続的に飲まれるロイヤルユーザーの中には、花王が示すエビデンスや機能性への信頼感から購入されている方も多いです。そのような方たちが不安を感じ、ブランドから距離を置く事態は避けたいと考えました。そのため両社にとって、またお客様にとっても前向きな引継ぎと伝えるべく、温かみのある言葉で安心感をもっていただけるプロモーションに仕立てました。

柳田(花王):ブランドは企業のものではなく、お客様とともに作り上げていくものです。「運営会社が変わる」という不安を払拭し、その後の期待につながるようなコミュニケーションをしたいという考えから、譲渡先であるキリンビバレッジさんにも企画のお声掛けをしました。

──プロモーションの反響はいかがでしたか?

長谷川(花王):「ブランドを引き継いでくれてありがとう」「久しぶりにまた飲んでみたい」など、今後のヘルシアへの期待の声がたくさん見られ、とてもうれしかったです。プロモーションに関するXの投稿は通常の投稿よりもエンゲージメントが高く、お客様の関心の高さを実感しました。

花王のアカウントによるX投稿
花王のアカウントによるX投稿。リプライ欄には「これからもヘルシアを愛飲します」といったコメントが並んだ

猪股(キリン):こういった施策は初めてでしたが、「飲み続けて体脂肪が減りました」というヘルシアへの感謝や、「会社が変わっても飲み続けます」というありがたいお声ばかりでした。私たちの想いが伝わった手応えを感じ、この施策をやって本当に良かったと思いました。

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“内輪”感を払拭するための工夫

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46298

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