※本記事は、2024年9月刊行の『MarkeZine』(雑誌)105号に掲載したものです
【特集】Update:BtoBマーケティングの進化を追う
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─ 進むリアル回帰、BtoBマーケティングはどう変わる?[vol.1]プレイド・阪 茉紘氏
─ 進むリアル回帰、BtoBマーケティングはどう変わる?[vol.2]suswork・田岡 凌氏
─ 進むリアル回帰、BtoBマーケティングはどう変わる?[vol.3]ギフティ・篠塚 大樹氏
─ 進むリアル回帰、BtoBマーケティングはどう変わる?[vol.4]サイバーセキュリティクラウド
─ 進むリアル回帰、BtoBマーケティングはどう変わる?[vol.5]ミスミ・大川英恵氏
「オペレーション」に対するイメージの齟齬
──MOps、RevOpsとはどのようなものなのでしょうか?
廣崎:MOpsは施策実行を担うフィールドマーケティングとIT部門の中間で、組織的なマーケティング運用を実現するために戦術を設計しメンテナンスを行う機能です。
タッチポイントがデジタルに変わり、取得できるデータが膨大になりました。それにともないマーケティングテクノロジーの増加と高度化が進み、効率的かつ成果につなげるためのデータ分析や、プロセス設計、ツール選定や管理運用などを専門的に行う組織や機能の需要が高まりました。MOpsはこれらを通してフィールドマーケティングを支援し、マーケティング活動全体の最適化を図ります。データ管理やツール活用、プロセス管理といったITの知識を兼ね備えたマーケターと考えていただくとわかりやすいかと思います。
データ量の増加やツールの複雑化は、マーケティング部門に限った話ではありません。セールスやカスタマーサクセス(CS)などレベニュー組織の各部門でも課題となり、最適化を行うためのオペレーションチームが誕生しました。
しかし、各部門の最適化が進むにつれデータや組織のサイロ化が課題となり、2018年頃から部門を横断して収益創出に関わる組織全体を最適化する重要性が議論されるようになった結果、IT企業を中心に組織化が進みました。それがRevOpsです。
川上:RevOpsは持続的に企業が成長していくために、組織の協業プロセスを強化して、戦略や戦術面で生産性を上げていくための方法論や組織を指します。欧米ではCRO(Chief Revenue Officer)がレベニュー組織全体を統括し、収益成長に責任を持つケースが多いです。RevOpsは予測精度を向上させ、経営陣のスピーディーな意思決定を支えます。
新しい考え方ではありますが、ガートナーは2025年までに世界の成長企業の75%がRevOpsを導入するという予測を出しています。実際にIT業界以外にも、金融や製造、ヘルスケア、コンサルティング、人材サービスなど取り入れる企業が増えています。
──いわゆるオペレーションとフィールドの関係はどのようなものですか?
廣崎:フィールドマーケティングの方々が効率的に施策を実施できるようにサポートするのがMOpsです。フィールドがマーケティング施策を実行するプロフェッショナルである一方、オペレーションはマーケティングマネジメントのプロフェッショナルと捉えることができます。
川上:オペレーションチームにとっての顧客はマーケターや営業、カスタマーサクセスなど、フィールド事業を牽引している方々です。マーケティングの場合は、CMOが立案や方針を判断するときに必要なデータやインサイトを提供するなど、フィールド部門が生産性を上げるための支援を行います。
廣崎:オペレーションという言葉に対して、日本と欧米で差異があると感じます。日本では単純作業をこなすというネガティブなイメージがついていますが、欧米の場合、戦略を実行に落とすための戦術を設計するRevOpsはレベニュー組織のリーダーの、MOpsはCMOの右腕的存在です。もちろんオペレーションチームには作業的な部分もありますが、それ以上の役割を持っており、マーケティング活動全体の最適化に大変重要な組織であることをご理解いただきたいですね。
川上:テクノロジーによる生産性向上が不可欠な領域なので、ビジネス部門だけでなく、エンジニアからRevOpsを担う方も増えています。そして、RevOpsの責任者からCROというキャリアの流れも増えています。RevOpsやオペレーションという言葉のイメージと違って戦略を支える存在であると感じていただけるかと思います。