オンオフの総合施策で、販売数量が前月比168%を達成!
──オンオフの総合施策の事例があれば、ぜひ教えてください。
辻森:2つの事例を紹介したいと思います。1つはドラッグストア「マツキヨココカラ」と、クレイシャンプーのブランド「クレイエンス」の事例です。店頭で商品を購入した方に、ボーナスポイントを付与する販促キャンペーンを行ったのですが、そのキャンペーンとデジタル媒体を組み合わせ、売上の最大化を目指しました。
辻森:具体的には、販促キャンペーンに特化したバナーと動画のランディングページを制作し、DMPを用いた広告配信と、マツキヨココカラのオウンドメディアにおける情報発信を行いました。そして店頭でもボーナスポイント付与をしっかりと伝えるような設計にし、「販売数量前月比120%」というKPIを設けたのです。
結果は、販売数量が前月比168%と大幅に増えました。プラスチックカード会員における販売数の伸長率が108%だったのに対し、デジタル会員での伸長率はなんと228%にも上り、店舗における販売数の伸長率は216%となりました。デジタル会員にはDMPを介して潜在・顕在層を含め幅広いユーザー層にアプローチできたこと、オウンドメディアで既存購入者に近いユーザーへリーチできたこと、来店した店頭で購入を後押ししたことが成功要因だと考えています。
また、マツキヨココカラによる分析・レポートは考察が深く、リテーラーならではの示唆にも富んでおり、メーカー側の課題に対する納得感が高いです。
辻森:もう1つの事例は、関西エリアのドラッグストアチェーンと日用消費財メーカーとの取り組みです。全国規模の小売業では調整が難しい、大掛かりな店頭との連動企画を行いました。
このケースでは、それまでEC専売品だった商品を店頭販売しました。そこで、生活情報Webメディアで全国的な情報発信を行いつつ、その商品専用の特別な企画棚を設け、Webの体験記事と連動したデザインの店頭POPを全店に設置しながら、情報発信のための売場作りも行いました。
この結果、これまでオフラインでの販売流通実績がなかった商材で、納品数の約50%を販売する成果を上げることができました。トライアルとしては非常に良い成果だったと思います。
──“聖域”とも言える店頭とデジタルの連動に取り組んだことが、成果の最大化につながったのですね。
組織間ギャップの解消も!プランニングから実行まで全方位でサポート
──今後、リテールメディアを活用して成果を出したいメーカー企業に対し、電通デジタルからはどのような価値を提供していくのでしょうか。
辻森:最近は、メーカー企業の方から「リテールデータやメディア、店舗を含めたリテール領域について、一から説明してほしい」というご相談をいただくことが増えてきました。この領域への関心が高くなり、ニーズも増えていると感じています。
とはいえ、組織間の意識や認識の差は依然として残っています。そのギャップを解消し、私たちも組織間を結び付けて事業成長につながるような提案をしていきたいですし、その成果で価値を提供し続けるパートナーになりたいと考えています。
藤田:リテールメディアの活用と聞くと、メーカー企業の中には「目の前にある短期的な売上を期待した販促施策」と捉える方もいらっしゃるでしょう。しかし、そこがゴールではありません。売上が伸びれば、それだけデータも豊富に蓄積されることになります。
そのデータをより上流のプランニングへフィードバックして、中長期的なブランド戦略に結び付けていくことで、ブランディングからマーケティング、販促というサイクルがスムーズに動いていくと考えられます。私たちはその伴走者でありたいです。
「電通グループ=ブランディング」だけではなく、店頭での販促領域に従事してきたグループ企業の知見を活かして、具体的な事業成長につながるプランニングを推進しています。そういった事例を当社のオウンドメディアで詳しく紹介していますので、あわせてご覧いただけると嬉しいです。