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『MarkeZine』(雑誌)

第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

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MarkeZine Day 2024 Autumn(AD)

「レシートデータ」の真価とは?顧客分析から新規獲得・リピート創出までマーケティングへの活用事例を紹介

 マーケティングを行う上で、購買データ分析による顧客理解は欠かせない。しかし、自社だけで取得できるデータには限界がある。また、取得したデータをどのように分析し、マーケティング施策に活かすかも悩みどころだ。そういった課題解決の糸口になるのが「レシートデータ」である。レシート買取アプリ「ONE」を運営するWED株式会社は、収集枚数10億枚以上のレシートからなる購買データベースを分析し、様々な企業のマーケティングを支援してきた。MarkeZine Day 2024 Autumnに登壇した同社取締役 新井俊樹氏が、これからの顧客理解・マーケティング施策にどのようにレシートデータを活用できるのか、その可能性を語った。

累計買取10億枚超え!レシート買取アプリ「ONE」

 WEDが提供するレシート買取アプリ「ONE」は、ユーザーの買い物レシートを1枚1円以上から買い取るサービスだ。“レシートを撮影するだけ”という手軽さから、毎月多数のレシートがアップロードされ、累計レシート買取枚数は10億枚を超えている。同社は、この豊富な購買データを活用し、マーケティングソリューションを幅広い業界に提供している。

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「ONE」利用イメージ(クリックすると拡大します)

 まず新井氏は、マーケティングにおける購買データ活用の課題をひも解く。「やみくもに商品を販促するのではなく、お客様に選ばれる商品を作って届けるために、購買データの活用が非常に重要」と新井氏。

 購買データを通してマーケターが知りたいのは、「顧客の購買傾向」「競合の状況」「市場のトレンド」等である。

 購買データにも様々な種類がある。代表的なものには、クレジットカード等の決済データやPOSデータ、パネルデータ、会員カードに紐づく情報が挙げられる。データの種類によって得られる情報に違いがあるため、それぞれの特徴を把握してマーケティング活動に活かすことが重要だ。

 とはいえ、限られた予算の中でどの購買データの収集に注力するかは悩ましい。「誰が何をいつ買った」という購買行動全体を完全に網羅したデータは世の中どこを探しても見つからない。「こうした課題に対して価値を発揮するのがレシートデータです」と新井氏は説明する。

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WED株式会社 取締役 新井 俊樹氏

レシートデータから何がわかるのか?

 レシートデータからどのような購買行動が見えてくるのか。新井氏は、あるONEアプリユーザーのモデルを基に解説した。

 たとえば、会社員の山田さんは、出社前にカフェで400円のホットコーヒーを買うのがルーティンになっている。電子マネーで購入した場合、決済サービスにもデータは残るが、「どこで・いくら使ったか」というところまでしかわからない。しかし、レシートデータなら「何を買ったか」まで把握できる。

 さらに、山田さんが会社帰りにスーパーで夕飯を購入した場合、パネルデータでは追い切れない項目もある。生鮮食品やプライベートブランドの商品などは、JANコードが紐づいていないこともあるからだ。レシートデータであれば、どの店舗でどんな商品を選んだか詳細に捉えることが可能だ。

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「レシートデータ」で捉えることができる購買行動(クリックすると拡大します)

 このように「レシートデータでは消費者の実際の購買行動を詳細に、かつ店舗や購買チャネルを横断して一元的に捉えることができるメリットがある」と新井氏は述べる。

 ただし、レシートに記載されている情報はそのままでは扱うのが難しい。画像認識(OCR)で正しく文字を読み取るには技術が必要だ。また、同じ商品項目でもレシートの表記は店によって異なるなど、複雑性が高い。

 そこでWEDでは、レシートデータからマーケティングに使える情報を抽出するために独自のOCR基盤と機械学習モデルを開発。複雑なレシートデータを生成AI技術で整理することで、大量のデータを扱えるようにしているという。

お茶ブランドの「レシートデータ」活用例

 続いて新井氏は、ONEのレシートデータを用いて、企業がどのようにマーケティングに活かせるのかについて事例を交えて説明した。

 とあるお茶ブランドを展開する企業では、リピート購入する顧客としない顧客の傾向を明らかにしようと、デモグラを軸にした分析を行ったが、年代や性別による傾向の差は見えてこなかった。

 そこでONEの持つレシートデータから、リピート顧客の購買傾向を分析したところ、リピート顧客は他のブランドのお茶や水もよく購入していること、一方リピートしていない顧客はコーヒーや甘い飲料、菓子パンをよく購入していることが明らかになった。

 プロモーションや新商品の開発を行う上では、「こうした嗜好を含め、深い顧客理解が重要」と新井氏は強調する。

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レシートデータから見えるユーザーの購買傾向(クリックすると拡大します)

リピート購入にもつながる「ONE マストバイ」キャンペーン

 また、このお茶ブランドの企業は、ユーザーに向けて商品を販促できる「ONE マストバイ」というキャンペーンを実施した。これは、ユーザーがONEに掲載されている対象商品を購入し、その商品が載っているレシートをアップロードすると、キャッシュバックが得られるというキャンペーンだ。

 キャンペーン期間中の売上増加が見込めるほか、キャンペーン終了後もアップロードされ続けるレシート情報から、顧客の購買行動を長期的に追うことができ、キャンペーン前後の態度変容を分析できる点が特徴だ。

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マストバイキャンペーン前後の変化(クリックすると拡大します)

 上図は、同ブランドの「マストバイキャンペーン」期間前後の動きをグラフ化したものだ。紫の線がキャンペーン期間となる。キャンペーン期間中の購入数が増えているのは予想通りと言えるかもしれないが、注目すべきは、キャンペーン終了後もキャンペーン前より購入数が増えている点だ。これは、ONEのキャンペーンをきっかけに商品を知り、リピートにつながっていることを示している。

企業が持つ顧客IDとの紐づけも可能

 ONEではユーザーが任意で登録している職業や年収、子どもの人数といった詳細なデモグラも合わせて分析できる。また、すでに企業が保有している自社会員サイトの顧客IDと、ONEユーザーIDとを紐づけることも可能だ。さらに、キャンペーンで購入したユーザーに企業が追加でアンケートを実施することもできる。

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キャンペーン後のユーザー分析イメージ(クリックすると拡大します)

 ONEが抱えるデータの特徴は、その網羅性の高さにある。ONEでは国内の月間消費の約1%に相当する規模の消費を毎月トラッキングしている。また、国内リテールのカバー率は約99%。ユーザーのアプリ利用頻度も高く、1年間毎日利用しているユーザーは16.3万人にも上る。

 このように、購買データとして網羅性の高いONEのレシートデータ。新井氏は、「ユーザーが日常習慣としてアップロードしているレシートデータを活用することで、マーケティングの様々な成果につなげることができる」と語った。

ONEのキャンペーン活用事例と効果

 実際にONEの抱えるデータとキャンペーンを活用し、マーケティングを成功させた事例として、3つの企業の例が紹介された。

 一つ目は、日本製紙クレシアが新商品のウェットシートのマーケティング施策を行った事例だ。同社は「機能性には自信があるが、商品の魅力が消費者に伝わっていないのではないか」という課題感を抱えていた。

 そこで商品のイメージや認知度の調査を実施。商品イメージが明確になったことでパッケージデザインの改善などに活かせる状態になった。また、特定エリアでマストバイキャンペーンを展開した結果、参加ユーザーのうち97%以上の新規顧客がリピート購買に至った

 二つ目に、日本ペットフードの事例。代表的な商品以外の認知度に課題があり、複数商品のマストバイキャンペーンを実施した。

 その結果、一つの商品では昨対比165.2%の売上を達成キャンペーン参加の9割以上が新規顧客で、さらにその4割以上がリピート購入につながったことが分かっている。

 三つ目の事例は、イートアンドフーズがマストバイキャンペーンを実施した例。大阪王将などの有名商品を展開する一方で、水餃子の商品は鍋料理に使うイメージが強く、売れ行きが季節に左右されやすいという課題があった。

 そこで、水餃子商品の年間を通じたニーズの拡大を図り、マストバイキャンペーンを実施。キャンペーン参加者のうち66%が新規顧客と休眠顧客であり、認知拡大に成功したと言える。

 最後に新井氏は、以下のように語りセッションを締めくくった。

 「日ごろから購買データを活用される中で『こういうデータが見られたらいいな』と感じているマーケターの方もいらっしゃると思います。購買データの活用はハードルが高い、自社ブランドのデータが取りづらいといった方にも、レシートデータは価値を提供できるサービスだと考えています」(新井氏)

顧客理解を深めるならレシート買取アプリONE!

 レシート買取アプリ「ONE」のサービス詳細・企業の活用事例は「ONE for Business」公式サイトよりご確認ください。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:WED株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/46963