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1,000パターンの検証でわかった、成果を最大化するA/Bテストの基本と進め方

A/Bテストはまず「ここ」から始めよう!

 Webサイトの改善に向け、A/Bテストを始めようと思っても、Webサイトを1つまるごとA/Bテストするのは現実的ではない。ではどこから手を付けるのが正解なのだろうか。

 この問いに対し、岩本氏は「改善インパクトが大きいところから始めるのが正解」だと話した。たとえば複数あるLPのA/Bテストであれば「最もPV数が大きいLP」から検証することが望ましい。ただ、Webサイトの検証に当たっては見るべきポイントが3つある。

 一つ目はトラフィックボリュームだ。LPのA/Bテストと同じ理屈で、「ユーザーが最も多く訪れているページ」から検証を始めたほうが得られるインパクトも大きくなりやすい。

 注意すべきは、デバイス別・季節指数を考慮してデータの抜き取り期間を決め、より多くのユーザーが接触しているページから検証を進めること。人的リソースや期間は限られているので、デバイス別ならば「PC・スマホ」とざっくり分けて、インパクトの大きい方から着手することが望ましい。

 一方で接触率が高いところだけを検証・改善したからといって、すぐに事業成果も上がるわけではない。そこで考えるべきは二つ目となるゴールからの距離だ。

「ECでいえば『購入完了』を指します。そこに至るまでに、より少ないステップで購入を促せる改善を加えることで、事業成果へのインパクトも大きくなりやすいでしょう」(岩本氏)

「短期的に成果を出そうとすると、購入時にログインして表示されるアカウントページや購入必要情報、最終確認ページなどが重要ポイントになりやすいでしょう」と岩本氏は話す。
「短期的に成果を出そうとすると、購入時にログインして表示されるアカウントページや購入必要情報、最終確認ページなどが重要ポイントになりやすいでしょう」と岩本氏は話す。

 三つ目が、課題の大きさだ。トラフィックが大きく、ゴールからの距離も近く、さらに「離脱が多い」もしくは「直帰率が高い」などの課題がある場合は、当然そのページから着手した方が良い。

 こうしてWebサイトを総合的に見ていきながら、A/Bテストを実施すべき範囲を決めていくのだ。岩本氏は「Webサイト全体で、どのページにどれくらいユーザーが接触しているかを把握できるシートを全社で共有しておくと計画が立てやすくなる」とアドバイスした。

LPの場合はFVとCTAボタンを改善、Webサイトの場合はユーザーフェーズ起点で考える

 A/Bテストのスコープが決まったら、次に考えなくてはならないのは、何から始めればいいかだ。これは、LPの場合とWebサイトの場合で変わってくる。

 まずLPの場合、高い成果が期待できる要素は、ファーストビュー(FV)の改善と、CTA(Call To Action)ボタンの改善だ。この2つに注力してA/Bテストを設計することが望ましい。

 FV改善に取り組む際には、まず競合他社のLPと比較してからテスト要素を抽出していく。次に改善ポイントを整理し、自社LPをヒートマップ分析。熟読されているエリアに足りないコンテンツを盛り込んでいくなど、具体的な改善案につなげていくのだ。

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 CTAボタンの改善も同じく、競合他社との差分分析を基にテスト要素を抽出。ボタンの形や大きさ、色、フォントや文言、問い合わせ先が電話なのかWebなのか来店予約なのか、CTAボタンの各要素について違いを洗い出す。そのうえで、ボタンの並べ方などもどれが効果的なのか検討していく流れだ。

 なおCTAボタンは限られたスペースであり「ユーザーが目に留める時間も1秒前後と短いため、テキスト量が多すぎてもユーザーに届かない傾向があるので注意が必要」だと岩本氏は話した。

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 ではWebサイトの場合では「何」から手を付けるべきなのだろうか。岩本氏は「ユーザーフェーズで考えましょう」とアドバイスした。

「自分のニーズに気付いているのか否か、そして自社製品・サービスに関して理解しているか否かの4軸で改善案を考えていくことをおすすめします」(岩本氏)

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 ニーズが顕在化して指名検索で来ている層が集まるページであれば、スムーズでわかりやすいCTA導線を設計し、CTAボタンを改善することが必要になる。一方ニーズが顕在化しておらず、サービスについて理解を促したい場合は、サービスサイトへの遷移を強化するCTA導線の追加、検索キーワードに合わせて「資料ダウンロード」などのCV設計を行う必要がある。

 こうして改善すべき点を洗い出し、優先順位を付け、改善案を出していく。改善すべき要素の順位付けが終わったら、各要素が抱える「課題」と「施策」を一覧表にして全社共有するのだ。

 この時に留意すべきポイントも、全て一覧にすることだ。「なぜならA/BテストはPDCAの一環であるため、PDCAのサイクルを止めず、常に検証と改善を繰り返すことが必要だから」だと岩本氏は説明する。

次のページ
A/Bテストを「どのように」進めるのか

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Faber Company

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/47079

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