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【1年で250名参加】ヤマハ流マーケティングの型を浸透させる「実践型マーケティング研修」とは?

 事業を成長させる上で、「マーケターの育成」は重要なテーマだ。多くの企業が育成を試みている一方で、そもそも教えるべきノウハウの体系化や取捨選択、研修の設計の段階から難易度は非常に高い。実務につながる効果的な研修を行えていないことがほとんどのようだ。そんな中ヤマハでは、戦略グロースファームのsusworkの協力の下、即戦力につながるマーケターの育成に向けて、事業部やマーケティング部に実践型マーケティング研修プログラムを実施。顧客理解・顧客価値定義・企画超実践など、実務につながる研修を行い、1年間で延べ参加者250名、満足度・理解度ともに97%と好評を博した。既に各事業部での実務にもつながり始めているという。本記事では、ヤマハのコーポレート・マーケティング部に所属する加藤剛士氏と赤尾枝里子氏、suswork代表取締役社長の田岡凌氏にインタビュー。大企業特有の悩みを抱えるヤマハがどのようにして即戦力につながるマーケターを育成しているのか話を伺った。

大企業特有の課題、マーケティングの共通言語化や専任人材育成の難しさ

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、ヤマハがマーケター育成の観点で従来抱えていた課題について教えてください。

加藤:長年、全世界で様々な種類の商材を扱ってきたヤマハでは、商品や地域ごとに“最適”を目指して事業を展開してきました。その方針自体に誤りはなく、成果を出せていた一方、事業や地域により、ヤマハへのイメージにばらつきが生じるという課題を抱えていました。

ヤマハ株式会社 ブランド戦略本部 コーポレート・マーケティング部 CXマーケティンググループ リーダー 加藤 剛士氏
楽器や音響機器などの各事業部をサポートし、市場導入を実現することがミッション。ヤマハ全体でのブランドマネジメントを担当。社内向けマーケティング研修の導入や改善にも携わる

加藤:このブランドイメージを統一できれば、ブランドへの求心力も上がり、さらなる成長にもつながります。そこで2016年にヤマハ全体としてのマーケティングの部署が設立され、ブランドイメージの統一に向けて活動を行ってきました。活動する中で感じられたのは、各事業部門のマーケターによって用いる言語や知識、フレームにばらつきがあるということです。これらを全社で統一し、共通して使える環境を目指すべきと考えました。

 加えて、事業部門には異動があるため、マーケターを専任で育てることが難しいことも課題でした。ゆえに、マーケティング部に配属されたものの「マーケティングについて詳しくない」といったことも起こっていたのです。

 これらの課題解決に向け、当初はコーポレート・マーケティング部門で研修を内製し、各事業部門に対して実施していました。しかし、前提知識に大きな“ムラ”がある中では各スタッフが実務に使える知識を得ることが難しく、成果につなげることができていませんでした。

即戦力になる人材を育成するマーケティング戦略の「型」

MZ:多くの企業でもヤマハと同様の課題を抱えていると思います。これまで数多くの日本企業を支援してきた田岡さんはその要因についてどのようにお考えですか。

田岡:多くの大手企業では、事業を推進するリーダー人材が不足しているという課題を抱えています。その課題解決に向けて様々な研修を導入するものの、実際には「部分最適で体系化されていない」「自社の実務で使えない」ことから、「研修が事業成果につながらない」というパターンがほとんどです。

suswork株式会社 代表取締役 田岡 凌氏

田岡:では、どうすれば良いのか? それは、仮説思考・顧客思考・戦略思考など、マーケティング戦略を立案する上で必要な一連の思考方法を体系化した「型」をインストールすることだと我々は考えています。これができれば、組織の“共通言語”が得られ、複数のチームや事業部門でも各メンバーがマーケティング戦略を同じ粒度で理解可能になります。

 また、自社に必要な戦略の型があればこそ、新たにマーケティング部に異動してきた人材でも即戦力に育てやすくなります。これらの理由からこの「型」のインストールが非常に重要であると言えます。

MZ:ヤマハでは、これまで挙げられたようなマーケティング人材の育成課題を解決すべく、susworkの協力の下で2024年1月からマーケターの育成を目的とした研修プログラムを開始したと伺っています。実際にどのような内容だったのか教えてください。

赤尾:2024年は4種類のプログラムをオンラインとオフラインそれぞれで実施し、計8回開催しました。プログラムの内訳は、「顧客理解」「顧客価値・体験定義」研修、「デジタル広告・クリエイティブ」研修、さらに幅広い方に向けた基礎的な「企画超実践」研修です。

ヤマハ株式会社 ブランド戦略本部 コーポレート・マーケティング部 CXマーケティンググループ 主幹 赤尾 枝里子氏
加藤氏と同様に商品事業部と連携しながらマーケティングに取り組む。特にデータドリブン強化の推進を担う。社内向けマーケティング研修の設計や運営にも従事

赤尾:研修を行う上で最も重視したのは、受講者が研修内容を自分ごと化しやすいことでした。いきなり新しい言葉に触れ、やみくもに学ぼうとすると混乱してしまいます。

 その点、今回suswork様が行った研修では、まずマーケティング戦略の型として活用できるフォーマットを、社内で既に活用していたフレームや言語をブラッシュアップする形で作成いただきました。研修の内容についても、ヤマハ自体や関連商材の事例を活用して戦略の型を教えていただくなど、あらゆる面で徹底いただきました。

次のページ
「体系化」と「実践」の両輪で効率的に「型」をインストール

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:suswork株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/06 10:00 https://markezine.jp/article/detail/47925

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