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MarkeZine Day 2025 Spring

日本のBtoBマーケティングに足りない機能とは 「売上」と同時に考えたい「価値」の話

欧米製のMAツールやSFAをうまく活用できない理由

 日本と欧米には、スタイル・慣習・文化などの側面で違いがあると同時に、共通項もあります。ポイントは、両者の違いや共通項を理解した上で、欧米から取り入れる要素を取捨選択することです。

 たとえばSalesforceやHubSpotのような欧米製のMAツールやSFAを導入しても上手く活用できない要因は、欧米の営業管理方法「パイプラインマネジメント」への理解不足にあります。

 パイプラインマネジメントは「見込客獲得→見込客育成→機会発見→アポ→提案→交渉→契約→導入→サポート・フォロー→アップセル・クロスセルやリピート」の流れで展開されます。このうち営業が担うのは「機会発見〜契約」です。欧米製のMAツールやSFAは、それを前提に開発されています。

 翻って日本の営業は、全プロセスが管理可能なモデル「トータル・パイプラインマネジメント」に当てはまります。欧米製のツールを選定する際は、日本市場や日本の営業組織の特徴を前提として最適解を考えるか、あるいは欧米型の構造にするか──その二つの選択を見極めなければならないのです。

 ここで改めて、日本型モデルと欧米型モデルのメリット・デメリットをもう一度確認しておきましょう。日本型モデルのメリットは「長期的顧客関係」「組織的活動」「顧客ニーズへの柔軟な対応」などです。デメリットとしては「個別対応の非効率性や成果主義の欠如」「パイプラインの不在」などが挙げられます。

 一方で欧米型モデルのメリットは「パイプライン管理」「戦略的マーケット・アプローチ」「スケーラビリティ」など。デメリットは「短期志向」「コミッション重視」などです。これらの違いを整理し、日本型モデルのメリットを活かしつつ、欧米型モデルのメリットを吸収する組織に改革することが、最適解への近道になります。

シェスの「統合モデル」をベースに推進せよ

 ジャグディッシュ・シェス氏は、1973年に発表した論文『A Model of Industrial Buyer Behavior』の中で、産業市場(BtoB市場)における購買行動が、消費者市場(BtoC市場)とは異なる旨を報告しています。この論文の中にある組織図「産業購買行動の統合モデル」は、BtoB市場における購買プロセスを理解する上で非常に役立ちます。

 この組織図は、企業の購買意思決定が環境要因・組織要因・個人要因の相互作用によって形成されること、産業購買では購買プロセスが単独(自律的)または共同(集団的)で行われること、関与者の期待、知覚・認知バイアス、組織の構造が購買行動に与える影響を示しています。統合モデル理論が広く支持されていることから、BtoBの購買プロセスは1973年時点で既に確立されていると言えるでしょう。

 つまり、BtoBマーケティングは統合モデルの考え方をベースに推進しなければなりません。具体的には、次の三つのアプローチで対象顧客の購買活動を想定する必要があります。

  • バイヤーグループやDMU(Decision Making Unit)のマッピング
  • アカウント(企業)単位でのジャーニー作成
  • カスタマー(個人)単位でのジャーニー作成

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営業チームのため“だけ”のマーケティングになっていないか?

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この記事の著者

塚本 建未(ツカモト タケミ)

ライター・編集者・イラストレーター。早稲田大学第二文学部を卒業後、社会人を経て再び早稲田大学スポーツ科学部へ進学。2度目の学部卒業後は2つの学部と高校デザイン科で学んだ分野を活かすためフィットネス指導者向け専門誌「月刊Fitness Journal」編集部に所属してキャリアを積み、2011年9月から同雑誌の後継誌「月刊JAPAN FITNESS」編集部の中心的な人物として特集・連載など数多くの誌面を担当した。現在はWebメディアに主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48559

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