UGC分析から見えた、カップスープファンのリアル
MarkeZine:今回の広告配信におけるインサイト分析(会話量リフトの分析)の結果について、Facebook Japanの野本様より解説をお願いできますか。
野本(Facebook Japan):まず、味の素様のキャンペーン広告をInstagram上で閲覧した利用者は、そうでない利用者の方と比べて約2.7倍、「カップスープ」というキーワードに言及した投稿を行っていました。
また、実際の利用者の動向を分析したところ、「クノール カップスープ」に対して独自のレシピでアレンジを加えて食事を楽しまれているという傾向がありました。いわゆる「映え」を意識した食事風景の中にカップスープが登場しているケースも多く存在していますが、利用者が独自にアレンジを加えたカップスープの投稿では、カップスープが食事の主役となっています。カップスープに少しのアレンジを加えることで、自分のニーズを満たす食事作りに役立てていることがわかりました。
このような新たなカップスープの役割をコミュニケーションに組み込んでいただくことで、Instagram上でのカップスープについての会話量をより増やすことができると考えています。たとえば、クリエイターとタイアップしてそのアレンジレシピを紹介していく方法が考えられるでしょう。企業からの発信だけではなく、クリエイターからも情報発信をしていただくことで、企業単体の発信よりも会話量が増えるというデータもあります。
山本(味の素):今回の施策を通じて「カップスープ」という言葉そのものが生活者の方々の中に非常に親しみを持たれて根付いている、ということが可視化された点は非常に良かったと思っています。特にフィードであればハッシュタグを追跡することである程度の傾向値が見えるのですが、ストーリーズは24時間で消えてしまいます。今回は、ストーリーズの部分も含めてFacebook Japan様に見ていただけたことで、よりInstagramならではの生活者の手触り感があるインサイトの種を見つけることができたと思っております。
吉村(博報堂):これまでは全体戦略で定めた方針の制作クリエイティブがまず決まり、それに合わせてデジタルマーケティング戦略や適切なメディア選定・配信設計を行うのが一般的でした。しかし今回の取り組みを通じて、プラットフォームの特性を最大限に活かしたクリエイティブとメディアプランを一体的に考えるアプローチも、UGCからの発見や特定のブランド課題解決に有効な手段になりうると実感しました。
味の素 × 博報堂 × Facebook Japanが描く今後の戦略
MarkeZine:最後に、今回の結果を受けて今後どのような挑戦をしていきたいか、今後の展望としてお聞かせください。
冷水(味の素):UGCにおける自社商品の割合をいかに増やしていくかという課題に中長期的に取り組んでいきたいです。
また、Instagram上で得られたインサイトをメッセージに取り込んでいくことで、企業広告・インフルエンサーPRを起点として、生活者の方々からの発信が自発的に発生するようなコミュニケーションを行っていきたいと考えています。
山本(味の素):今後はより一層、前例に囚われない出稿手法の多様化に取り組んでいきたいです。
また、媒体の特性は日々変化し、生活者のマインドも常に変わっている状況の中で、生活者の気持ちを最も密に感じ取れているのはFacebook Japan様のような媒体社側だと思います。Facebook Japan様が蓄積されてきた知見と味の素ブランドをうまく連動させ、最適な接点を作り出していくという一連の取り組みは、引き続きさらにアップデートしていける余地があるだろうと、今回の施策を通じても改めて感じました。
吉村(博報堂):これまでは若年層・女性層へのリーチをInstagramの主な役割として位置づけてメディアプランを考えてきましたが、使い方への思い込みや「以前はこうだった」という固定観念にとらわれず、常にアップデートしていく必要があると思います。今後も三社で連携しながら、味の素様のブランドごとの固有の課題に合わせたチャレンジやプランニング、配信面での最適化などを積極的にご提案していきたいと考えています。
MarekeZine:Facebook Japanの「価値共創マーケティング」における今後の展望をお聞かせください。
野本(Facebook Japan):価値共創マーケティングは、利用者やクリエイターと企業が価値をともに創り出していくマーケティングであり、UGCからのインサイトをマーケティングプランに反映させ、その結果を確認する、というPDCAサイクルを繰り返すことが非常に重要です。味の素様へは、他のブランド含め、博報堂様と協力して継続したサポートを提供させていただきたいと考えています。