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「たべっ子どうぶつ」がまさかの映画化!お菓子×IPでブランドファンを育てるギンビスの仕掛け

IPはもちろん大事。でも「お菓子」はもっと大事

──コラボレーションやグッズ展開の効果はどのように表れていますか?

宮本:より熱狂的なファンの方が増えて、グッズの売り上げも好調です。最近は、お菓子の売り上げにもいい影響を与えていると思います。お菓子自体の売り上げは、過去5年間で約2.5倍に成長しています。

 最近は、私たちが大きく宣伝をしていなくても、ファンの方が口コミで「おいしいよ」「かわいいよ」といったいいコメントを出してくれるなど、SNSを通じて盛り上がってくれていると感じます。

 特に、トレンドをけん引する10~20代の若年層のファンが増えてきたことで、30~40代にも波及しています。なつかしさを感じて久しぶりに商品を手にした層が、「やっぱりおいしいな」と感じてリピートしてくれる、といった効果もあるようです。

 ただ、たべっ子どうぶつは、キャラクターIPを展開する前からお菓子自体の売り上げが継続的に伸びています。「グッズが人気なのでお菓子も売れている」と思われるかもしれませんが、実際は逆なんです。お菓子が売れ続けているから、グッズにも興味を持ってもらえていると考えています。

──なるほど。お菓子の「たべっ子どうぶつ」が多くの人に支持されているゆえに、コラボやグッズによる相乗効果が生まれているのですね。

宮本:そうですね。お菓子の売上が好調であること抜きには考えられません。

 「たべっ子どうぶつ」は50代の僕が子どものころからあるお菓子ですが、当時の親世代は今の70~80代。もちろん今も全国の子どもたちに人気があります。世代を問わず、みんなの思い出のお菓子になっているのが「たべっ子どうぶつ」の特徴です。

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「思い出の味」であり続けるために

──なぜここまで「たべっ子どうぶつ」という商品が愛され続けているのでしょうか?

宮本:一つは、「味」と「品質」が変わらないからでしょう。時代とともに原材料や製造の機械、作る人が変わっていく中で、味を一定に保つのは、実は非常に難しい技術です。同じレシピでも、何もしなければ味は変化してしまうものです。

 当社では、「あの時食べた思い出の味」であり続けるために、なるべく味を変えない努力をしています。工場内で品質チェックを徹底することはもちろん、私自身も毎日工場で作られたビスケットを食べて味を確認しています。またコンビニやスーパーでも買って食べてみるなど、常に消費者の目線で体験することを意識しています。

 一方で、コンビニ市場を中心に「新商品のラインナップ」も展開しており、次々とヒット商品が生まれています。最近では「たべっ子水族館」や、「たべっ子どうぶつ」のいちご味・抹茶味といった新フレーバーが人気です。またビスケットだけでなく、グミやラムネなどの新商品も好評です。

 変わらない味を守りながら、新しい楽しさを届けることで、お客様が興味を持ち続けてくれるのだと思います。

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「たべっ子どうぶつ」のラインナップの一部。コンビニ限定商品やベビー向け展開も

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お菓子を通して「心豊かな世界」に貢献していく

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/15 10:54 https://markezine.jp/article/detail/49368

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