消費者のための商品を、リテールとともに育てる
MZ:Cycle.meのローンチから今までで、方向性や戦略の変化はあったのでしょうか。
井手:ブランド戦略はよりシャープになってきていますね。差別化できる原料を活かすことを中心にした、どちらかというとプロダクトアウト寄りの発想が強かったのですが、「ゼリープラス」発売の手応えからマーケットインへと大きく舵を切りました。
たとえば、機能性表示を取得して「健康にいいですよ」とうたえば伝わるわけではありません。あらゆるものが健康食品化している昨今だからこそ、当社では「これなら自分でも無理なく始められそう」「食べてみたらおいしかったから続けたい」「機能性もしっかりしていて信頼できる」「結果、自分らしい美容と健康の選択肢になりそう」と、生活になじむ食品としてのUXを徹底して考えています。
そのためにペルソナの解像度を高め、寄り添い、「ありそうでなかった」と思ってもらうことにこだわり、反響を得やすい商品は生まれるのだと思います。
MZ:商品開発以外の部分として、販売戦略においてはいかがですか。
井手:実は、マス広告など大規模な広告投資は一切やったことがありません。「認知率」「ブランドイメージの醸成」の大きく2つの観点で、販売戦略を設計しています。
認知率向上には、配荷店舗数が大きく影響しています。コンビニで目に触れる機会を活かした結果、パッケージ認知率は約45%となりました。これは、広告効果に換算すると数十億円規模にも及ぶと広告会社からも評価をいただいています。一般的なD2CブランドはEC販売が中心になりがちですが、食品の場合は店舗で購入する層が圧倒的に多いため、まずリテールの拡大がマーケティング戦略上重要でした。
ブランドイメージ醸成の観点では、@cosme TOKYOと連携し、当社商品の訴求にとどまらずインナービューティカテゴリー全体の育成に注力しています。日常的にコンビニで見かけるCycle.meが「あの美容チャネルでも売れている」という驚きをお客様に抱いていただく2段階のチャネル体験とデジタルでの丁寧な商品説明を組み合わせることで、複数の接点からお客様とのコミュニケーションを図り、ブランドをより深く理解してもらえるよう設計しています。
「健康という土台作り」を食で支援
MZ:今後取り組んでいきたい展望やチャレンジがあれば教えてください。
井手:ドットミーが掲げるパーパスは「自分らしく生きる、をつくる。」というものです。人生のライフステージは人によって様々ですが、健康という土台がなければ、どんな選択肢も狭まってしまいます。Cycle.meは、その土台作りを毎日の食から支える“縁の下の力持ち”でありたいと考えています。
私たちは医者ではないため病気を治すことはできませんが、「3食きちんと食べなければならないことはわかっているけれど、できない」といった悩みを持つ方々のために、私たちならではの方法でサポートにチャレンジしていきたいです。
それが実現できた暁には、健康という土台の上にある、スキンケアや美容、食育といった領域にも挑戦できればと思っています。もちろん、まずは「食事を通じて健康をつくる」ことにコミットしていきたいですね。今後も多くの方に「おもしろい」といっていただける商品を生み出していきますので、どうぞご期待ください。