たとえば、CRM戦略に「UX思考」を取り入れると?
マーケティングとUXデザイン。一見すると異なる領域に見えるこれら2つの専門分野は、「顧客中心主義」という揺るぎない共通項で深く結びついています。
マーケターがペルソナやカスタマージャーニーを用いて顧客を深く理解しようとするように、UXデザイナーもまた、ユーザーリサーチやデータ分析を通じて、ユーザーの行動、思考、感情の深層に迫ります。
両者は共に、顧客の「困った」を「できた!」「よかった!」へと変える課題解決を目指し、Web解析やA/Bテストといった客観的なデータやインタビューなどで得られた定性データに基づいた意思決定を重視します。広告との出会いからプロダクト利用まで、顧客とのあらゆる接点における体験を最適化し、共感を呼び、記憶に残るストーリーを紡ぐ点においても、両者のアプローチは一致しています。
たとえば、「顧客ロイヤルティ」は多くのマーケターがその重要性を理解しています。しかし、具体的な施策に落とし込む際に、CRMやポイントプログラムなど、比較的直接的な手法に目が行きがちです。一方UXデザインでは、「顧客ロイヤルティ」は経済ロイヤルティ、行動ロイヤルティ、心理ロイヤルティの3つの観点から捉えます。

経済ロイヤルティは心理ロイヤルティが積み重なった結果として表出するため、顧客の心理ロイヤルティに目を向けることでより施策の効果を高め、安定的な売上に繋げることができます。
UX思考を取り入れ、「顧客視点」とマーケティング戦略を結び付けよう
マーケティングの役割が、単に製品を「売る」ことから、顧客に「選ばれ続ける」ための関係構築へとシフトしている今、UXデザインの知見は不可欠なものとなっています。
もし、広告の費用対効果に伸び悩みを感じているなら。もし、Webサイトの離脱率に頭を抱えているなら。もし、アプリの継続利用率に改善の余地を感じているなら。それは、顧客の「体験」に目を向けるべきサインかもしれません。
UXデザインは、デザイナーだけが学ぶべき特殊な技術ではありません。それは、顧客の視点に立ち、彼らの感情や体験を深く理解し、より良い解決策を追求する「思考法」そのものです。この思考法をマーケティング戦略に取り入れることで、顧客の心に深く響くキャンペーンを生み出し、より高いエンゲージメントを達成し、最終的には持続的なビジネス成長を実現できるでしょう。
グッドパッチでは、マーケターとUXデザイナーは、異なる道を歩む存在ではありません。顧客中心主義という共通の羅針盤を頼りに、手を取り合って未来のビジネスを創造する、最強のパートナーとしてプロダクト開発から顧客に価値を届けるところまでを一気通貫で走り切ります。
とある飲料メーカーの案件では、UXデザイナーがペルソナ設計、体験価値の整理、パーセプションチェンジフローの設計をした後、その情報を基にマーケターがCRMの要件を整理し、ロイヤリティプログラム構想を進めました。ユーザーリサーチによって整理された具体的な顧客像があったからこそ、マーケターは施策として使えるレベルのCRMを設計できたのです。
しかし、この最強のパートナーシップを築くにはデザイナーとの『言葉なき対話』を可能にするスキルが不可欠です。次回は上記事例を詳しく説明するとともに、なぜマーケターとUXデザイナーの間でミスコミュニケーションが起きるのか? その原因を深堀します。
マーケターとUXデザイナーのコミュニケーションを円滑にし、互いの専門性を最大限に活かし合うポイントを理解して、一歩先をいくマーケターへの道を歩み始めませんか?