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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

先進的なCRMを実践する事例大全

「ROI可視化までお客様軸」に徹底改革 顧客LTVの最大化を目指すファンケルのCRM戦略

LTV向上に向け、最適な層に向けた施策を展開

━━顧客解像度を上げ、現在どのようなCRM施策を展開しているのか教えてください。

 先ほども少しお話しましたが、以前はロイヤルティの高いお客様と、新規からライト層のお客様に注力しておりました。そのため、ある程度年数や回数は経過しているが、購入商品点数が少ないお客様は相当な人数で存在していたのですが、そこにフォーカスして打ち手をすることはほぼありませんでした。正直に言えば、情報誌を送ってキャンペーンを開催するだけで、その反応率はそこまで高くないのにも関わらず、別のアプローチをしてこなかったのです。

 しかしFITに蓄積されたデータの本格活用によって、データの掘り下げが進み、どんなお客様かが明確になり、大きな改善の余地があることがわかってきました。これらのお客様は数十万人規模になるので、CRMで絆づくりを改善すれば大きな成果が期待できます。そこで顧客セグメントごとに顧客育成方針を策定しました。

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 その一環として昨年行った施策が、長期にわたって購入いただいているが、最近購入額が下がっているお客様に向けたクーポンDMです。単なるクーポンDMではなく、長くファンケルを続けていただいていることを踏まえた感謝のご挨拶や、DM形状なども工夫し、大きな成果を上げることができました。

 こうした割引クーポンは、全お客様に配布するとコストがかかってしまうことと、過剰な値引き割引はファンケルブランドの価値を棄損しかねないので、値引き対象を必要なお客様に絞り込むことで無駄な値引きをしないことをセオリーにしつつあります。

「特定商品だけ」ライト層、併売率をどう上げる?

━━対象を絞ることで効率も上がりますし、LTV向上への寄与も期待できますね。

 そうですね。そのほか、併売率を上げる取り組みとしては、ECサイトの見直しも進めています。というのも、ロイヤルティが高いお客様はECサイト内をくまなくご覧いただいておりますが、ライト層や単品購入している方の場合、目当ての商品を最短ルートで購入していくことが調査でわかったからです。つまり、いくらECサイトを豪華に作ったり、キャンペーンの案内を貼ったりしても、ライト層の方にはまったく届かない、むしろ動線のなかに情報を埋め込む必要があるということです。そのためお客様ごとに動線設計を行い、ECサイトを変えていく活動を始めているところです。通販のメンバーはおおよそこの結果は想定しておりましたが、実際にお客様がどういう意図でどのページ遷移していくのかという生々しいお客様の動きを、ECサイトに関わるメンバーも目の当たりにして、全員がどう変えるかのイメージできたことが大きかったと思います。 

 またCRM全体に関わるところで言えば、ロイヤルティプログラムでもあるファンケルメンバーズサービスの見直しも行いました。

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 以前は購入金額をお客様ステージに反映していたのですが、今年からはアプリやメルマガの登録状況、口コミ件数などのアクションもステージに反映し、条件をクリアすればステージアップができるステージアップチャンスを月1回開催して体験価値の向上に努めています。金額だけでなく、ファンケルとのコミュニケーションを活性化することで体験価値を上げ、顧客育成に反映させることでつながりを増やしています。

ファンケルの石川氏も登壇!LTV戦略が学べるセッションが無料開催

 2025年9月10-11日に東京・丸の内で開催予定の「MarkeZine Day 2025 Autumn」では、本記事で登場したファンケルの石川氏らが登壇するセッション『ファンケル×ゴルフダイジェスト・オンラインに学ぶ「ブランド想起」を広げるLTV最大化戦略(仮)』を実施予定です。

 パネリストとしては石川氏のほか、ゴルフダイジェスト・オンラインでデータを活用したエンゲージメント向上に取り組む加藤氏も招聘し、モデレーターに経営やCMO視点で長くデータを活用している、タネトシカケの代表、はなまるのCMOの髙口裕之氏を迎えます。

 顧客とのエンゲージメントを高め、LTVを向上させるためにどのような工夫が必要か、どのような発想でデータを活用すべきかなどが学べるセッションです。参加は事前登録制で席に限りがありますので、登録はぜひお早めに。

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効果的なKPIを設定するために大切な「仮説づくり」

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49453

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