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MarkeZine Day 2025 Retail

「長期的な利益」につながる売上を見極める。西口一希氏が説く「良い売上」の最大化と「悪い売上」の最小化

良い売上を重ね、悪い売上を減らすには?「価値のダブルインパクト」という考え方

 では、どうしたら良い売上を積み上げ、悪い売上を排除できるのか。そのための考え方の一つとして、西口氏は「価値のダブルインパクト」の概念について言及した。

 顧客は、企業が提供する商品に対して「価値」を見出して初めて、購入行動に至る。商品自体が何ら変わらずとも、それに価値を見出す人もいれば、見出さない人もいる。その現実に気づかず、自社商品について「これは必ず価値がある」と思い込んでしまうと、顧客の心理を見誤ってしまうことにつながる。

 顧客が商品に見出す価値が高いと、2つの点でインパクトをもたらす。まず、安売りの必要がないことだ。もっと言うと、価格を上げても購入が見込める。同時に、コストをかけて販促や集客をする必要がないため、新規獲得や継続に対する費用が下がる。

 他方、顧客が「価値が低い」と認識してしまう商品はどうか。その場合、価格を下げなければ売れず、さらに販促などの費用はかさむ。

 「顧客が商品に見出す価値が高ければ、価格を維持・向上できると同時に、費用も下がるという二重のインパクトが期待できます。価値が低いと、逆の対応に迫られます。マーケターは常に、『顧客が本当に欲しいと思う“価値の高い商品”を提供できているのか』に注目すべきです」(西口氏)

良い売上を増やして4年連続20%成長──ニューバランスの事例

 最後に、良い売上の最大化と悪い売上の最小化が長期的に実践されている好例として、ニューバランスの事例が挙げられた。

 西口氏は、同ブランドとは資本やコンサルティングの関係はないと断った上で、独自に行った2021年12月と2025年1月の9segs調査の結果から、理想的にビジネスを伸長させていることを紹介。具体的には、約3年の調査比較において、ニューバランスは良い売上をもたらすロイヤル顧客(下図の1番・2番)を確実に増やし、最も悪い売上につながる一過性の顧客=消極一般顧客(下図の4番)を減らしていたのだ。

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 同社はこれまで業績を公開していなかったが、2025年初頭の報道で4年連続20%以上の伸びを達成していると明かされた。継続的に購入する顧客の重要性を示していると言えるだろう。

 最後に、西口氏は長年の経験を経て理解したドラッカーの言葉を引用し、講演を締めくくった。

「企業が自ら生み出していると考えるものが、重要なのではない。特に、企業の将来や成功にとってはそうではない。
顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが重要である。
それらのものが、事業が何であり、何を生み出すかを定義し、事業が成功するか否かを決定するのである。」

出典:『創造する経営者』

 “顧客が価値と考えるものが重要である”――。36年のビジネス経験を振り返ると、ドラッカー氏がすべて言及されていたことがわかる、と西口氏。「皆さんも、この言葉にどういう意味があるかをお考えいただければと思います」と語った。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/01/14 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50201

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