「顧客の言葉」がブランドの価値に
――積水ハウスでは、今回の取り組みでブランドの見せ方について変化や気付きはありましたか。
足立:今回のコンテンツを制作した目的は、多くの人に当社の家づくりの本質を理解し、ファンになってもらうことです。そのためには、コンテンツを作り込むというより、パーソナリティを見せることが重要だとわかりました。今後も、見せ方の工夫を重ねながら、当社の取り組みをストレートに伝えるコンテンツを作っていきたいと考えています。
酒井:当社から伝えたいことを発信するだけでなく、お客様が感じたことを自身の言葉で伝えてもらうことで、より信頼性が高まると実感しました。動画を見た方の中には、自身の暮らしを振り返って「私も好きなものが身近にある暮らしを実現したい」と前向きに考えてくれる方もいて、良い広がりが生まれています。
――顧客が発信するという意味では、SNS投稿などのUGC(User Generated Content)の活用も進んでいます。その動きとも重なる部分はありますか?
酒井:多くのオーナー様がInstagramなどで「#積水ハウスファミリー」とハッシュタグを付けて投稿されています。お客様の言葉で届けるという意味では、今回の取り組みも同じです。お客様や社員が日々感じていることをすくい上げて発信した、という感覚に近いですね。
足立:当社は、お客様との打ち合わせの回数が多い会社です。どんな暮らしがしたいか、そのためにどんな家をつくりたいのか、お客様と綿密にお話しします。担当者とお客様が同志のように仲良くなることも多く、建てた後も応援してもらえます。この「現場の熱量」が当社の大きな財産です。今回の動画では、未検討や検討中の方にもそれを知ってもらえたのではないでしょうか。
対話を重ねてビジョンを浸透
――現場の熱量が財産とのことですが、そこまで言い切れる理由は何でしょうか?
酒井:なぜ現場の社員がこれほど熱量を持ってお客様に向き合えるのか。その背景には、全社員が参加する「ESG対話」という取り組みがあると考えています。
これは、経営理念や“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というビジョンについて、「自分はどう感じるか」「日々の業務でどう心が動いたか」を少人数で対話する場です。スペックや数字の話ではなく、当社の企業理念である「人間愛」や大切にする「価値観」について社員同士が本音で語り合います。この土壌があるからこそ、お客様の「感性」にも深く共感できるのだと思います。
そのような機会もあるので、会社のビジョンは浸透していると感じています。様々な部署の人と会話をすると、同じ価値観や考え方を共有できているなと思えることも多いです。
足立:企業は商品やサービスを社会に提供しますが、当社は単にモノを売るだけではなく、「人々の生活にどれだけ良い影響を与えられるか」を真剣に考えています。
ブランドを作るのは、結局は「現場の社員」です。対話を重ねることで、社員一人ひとりがブランドの体現者になっている。今回の動画で伝わった熱量の正体は、そこにあると考えています。
――「うちは『北欧、暮らしの道具店』や、佐藤店長みたいな人はいないから」と思いがちですが、お話をうかがうと社内での価値観の共有、インナーブランディングがあってはじめて、今回のような事例が成立すると感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
