ケーススタディで学ぶ「改正特電法」
特電法改正から3ヶ月経ち、ある程度概要は把握できているだろう。しかし、実際の運用業務では些細な部分について色々と心配になってしまうもの。ここでは、そうした運用中に起こりうるさまざまな場面での疑問点について、山下氏に答えていただいた。
資料請求やアンケート記入時に記載してもらったアドレス。送っても大丈夫?
資料請求やアンケートなどの書面上で受信者からの同意を得ていない場合、広告メールの送信をしてはいけません。
名刺交換させて頂いた方には、広告メールを配信しています。
名刺交換は、ビジネス上のやり取りがあることが前提なので、特に広告メールの受信を拒否することが明示されていない場合、広告メールを送っても問題ありません。
法改正される前からのお客さまには、引き続きメルマガを配信しています。
改正特電法では再度オプトインの同意をとることは求められていないので問題ありません。
企業合併。オプトインは取り直さなくてもいいですよね?
メルマガ自体の内容が変わらなければ、再度同意を取る必要はありません。ただし、合併した旨をメールで案内するなど、お客様への気遣いは必要だと思います。
予約確認などのトランザクション系メールに広告要素を含んだコンテンツを入れています。
トランザクション系メールに広告が付随的に含まれている場合は、オプトイン規制の例外とされているため、基本的には送信しても問題ありません。
通知をせずにメルマガの配信元アドレスだけ変えたのですが?
厳密に規定されていませんが、メルマガの内容が変わらないのであれば、オプトインを取り直す必要はありません。
オプトイン時の記録は、登録画面を保存するようにしています。
特電法では最低限ネットの登録画面やアンケート用紙などを保存することが求められています。あとは「法廷闘争になった際に、何を証拠として提出できるようにするか」といった自衛手段の問題になります。このため、オプトイン時のアクセスログを保存するなどの対策が必要になります。
特電法に書かれているとおり、オプトイン時の記録保存は1ヶ月間だけで大丈夫?
保存期間については注意が必要です。広告宣伝メールに関する法律には改正特電法の他に特定商取引法があります。特電法では、最後にメールを送ってから、もしくは退会後1ヶ月が保存期間ですが、特定商取引法では3年間と定められています。このためオプトイン時の記録保存は、3年間を目安にすることをお勧めします。
ユーザー不明エラーが返ってきたアドレスに送信し続けても大丈夫?
ユーザー不明エラーが返ってくるような、所有者の存在しないアドレスは「架空アドレス」と見なされます。多数の架空アドレスへのメール送信は特電法で禁じられており、エラーアドレスにメールを送り続けることは意図せずとも特電法の違反につながります。このため、エラーメールのメンテナンスは非常に重要になります。
このように、改正特電法の遵守を意識したメルマガの運用を行うために、メールコンテンツ、システム、運用ルールなど、多岐に渡った見直しが必要になる場合がある。
なお、改正特電法についての詳細な情報やノウハウ、メルマガ運用方法のベストプラクティスは、エイケア・システムズがまとめた資料「適切なメール配信のための必須実務十ヶ条」(無料ダウンロード可能)に詳しいので、参照すると良いだろう。