その画像は誰のため? キービジュアルに潜むワナ
イラストを含むあらゆるモチーフの中で、画像、特に人物画像はずば抜けて訴求力が高い。そのため、扱い方次第では他の情報と相殺し伝わらないランディングページにしかねない極めてデリケートな両刃の剣と言える。
画像の原則として渋く暗いトーンは嫌われ、明るく鮮やかなトーンの方が一般的には好まれるという。画像の光量が不足しているだけでユーザーの評価が低くなってしまう顕著な例だ。質の低い画像は、せっかくキーワードに紐付きゴールまでをランディングページに落とし込んでも、その他の訴求力が強い分、かえって大幅に信頼感を下げてしまう危険性を含んでおり絶対的にマイナス効果を生み出す。
ではなぜ暗い画像などの階調がわずかにフラットになったり、ハイコントラストになっただけで信頼感が下がるのか? それは単に画像の質が低いのではなく、受け手であるユーザーがその微妙なプロポーションに違和感を覚えてしまうからだ。ユーザーは単純に好みだけで評価はしておらず、ページの「顔」であるキービジュアルから会社の信用度や商品の安全性、品質レベルまでを判断するのだ。当然、低画質の画像が掲載されたランディングページでは説得力不足である。

たった一枚の画像によって心に響くよう練りあげたキャッチコピーが、ユーザーの胸を打つこともなく直帰される結果となってはまさに本末転倒だ。画像の取扱いには細心の配慮と加工テクニックが不可欠である。
訴求の要、キャッチコピーはタイポグラフィにこだわろう
前述したとおり扱いが難しいキービジュアルだが、基本的には「主役を引き立たせ」ながらも際立った存在感を放たせることが本来の正しい役割だ。では、その主役とは何か。それはランディングページの訴求の要、キャッチコピーである。キャッチコピー次第でユーザーの求めている情報の有無を瞬時に判断されるため、確実にユーザーの心にヒットする文章を考えることはもはや必須条件だ。
しかしながらキャッチコピーはただの文字ではない。その造形1つでページ全体の印象、商材そのものの印象を左右する大きな影響力がある。それだけに文字の太さ、級数、その書体選びに至るまでが慎重に行うべき要素となる。とにかく目立たせ読ませようと、ただフォントを太いベタ文字で巨大に登場させてはいないだろうか。ターゲット層が男性であるならば、ハードタッチのゴツゴツとした男性的なイメージのフォントでも有効だろう。その反面、女性層には無骨な印象を与えてしまい離脱を促す要因になりかねない。書体1つから受ける印象度を考えれば、曖昧な書体選定は避けて然るべきなのだ。
ここである種の誤解が生じているようならぜひ解いておきたいのだが、女性がすべて可愛い丸文字書体を求めているわけではない。書店の雑誌棚に並ぶ女性雑誌の表紙タイトルロゴを思い浮かべてみてもらいたい。男性誌と比較するとやはり線の柔らかい書体を選ぶ傾向だが、極太ロゴのインパクトで目を引く雑誌が多いことにも気づいていただけたと思う。
これらの雑誌ロゴが女性らしさを損なっていないのは、カラーリングや文字組みに大小差をつけ、モデルや商品との組み合わせが綿密に意識されたデザインだからだ。このように明確なビジネスモデルとターゲット層に合った書体で整えていけば、キャッチコピーは表現力に優れたビジュアルパーツへと変化し、マイナスに作用することはないだろう。「文字を効かせること」これがタイポグラフィの原点である。