生成AIの登場から予見されてきた、生活者を理解し、呼応するパーソナライズされた新たな広告サービス。その具体的なソリューションとして「ChatGPT広告」の展開が始まる。2026年6月23日にデジタルマーケティング研究機構(DMI)が6月度月例セミナー「ついに始まるChatGPT広告 広告主はどのように活用すべきか、そしてブランドとして考えておくべきこと」を実施した。大手ブランドでのマーケティングのリードなどを歴任し、広告テクノロジーや企業DXに精通する江端氏が、その内容をもとに、ChatGPT広告の現状と論点を整理し、「基礎編」「対策編」から成る前後編でお送りする。
複数の立場から考える「ChatGPT広告」の現在地
去る6月23日に開催された同セミナーは、東京・銀座のリアル会場とオンライン配信のハイブリッド形式で行われ、事前登録制ながら約360人ものマーケターが詰めかけた。
登壇したのは、プラットフォーム側からStackAdapt Japanの山口武氏、運用支援側からShirofuneの菊池満長氏、そして透明性やブランドセーフティの論点を提示するSEARCHLIGHTの瀬戸亮氏の3名。モデレーターは、日本経済新聞社でDMIデータ活用委員長の小林秀次氏が務めた。
同セミナーの位置づけは、新しい広告商品の紹介にとどまらず、ChatGPT上に広告が表示されることによって、広告主は何を考えるべきか、ブランドはどのような備えをすべきか、そしてユーザー体験や信頼性にどのような影響があるのかを、複数の立場から確認する場だ。
プラットフォーム側からは、StackAdaptがOpenAIと協業しているChatGPT広告の概要や展開状況を説明。運用支援側からは、Shirofuneが管理画面や運用上の課題、支援ツールの役割を紹介した。さらに、SEARCHLIGHTの瀬戸氏は、AI上に広告が出ることの透明性、信頼性、ブランドセーフティの論点を提示した。本稿では前後編にわたって、その中で語られた様々な事実と可能性、そして筆者が過去の知見から指摘したい「新しく考えねばならぬ課題」を整理してお伝えする。
WAUは9億超。世界的なパイロット展開に期待されること
セミナー冒頭では、OpenAIによるChatGPT広告パイロットの告知が紹介され、StackAdapt Japanの山口氏からは、より具体的な開始時期も説明された。StackAdaptは、カナダ・トロントで設立されたAI搭載のマルチチャネル広告配信プラットフォーム(DSP)だ。グローバル従業員数1,800人以上、支援ブランド・広告主数2万以上、月間アクティブキャンペーン2万以上という規模で展開している。
StackAdaptとOpenAIの協業は5月5日に発表され、パイロット版広告表示は米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで先行して開始。その後、6月4日に英国、6月17日に日本で展開が始まったという。
このパイロットプログラムの目的は、各地域で何が効果的かを把握し、今後のサービス改善に役立てることにある。つまり、現時点のChatGPT広告は、本格展開というよりも、地域ごとの反応や広告体験を検証する段階にある。
会話型AIにおける広告が重要な理由として、山口氏はChatGPTの利用規模と消費者行動の変化を挙げた。世界の週間アクティブユーザー数(WAU)は9億人以上、毎日処理されるプロンプト数は20億件以上、世界人口の約10%がChatGPTを利用しているという。
さらに、消費者はAIを活用して、商品を調査し、選択肢を比較し、推薦を求め、購入意思決定を行うようになっていると説明する。これは当然、従来の検索エンジン上の情報収集とは異なる接点だ。
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江端 浩人(エバタ ヒロト)
iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務...
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