ChatGPT広告の4原則とOpenAIのミッション
山口氏からは「ChatGPT広告の原則」として、次の4つの項目も示された。
1つ目に挙げられたのが、「回答の独立性」の担保だ。広告主はChatGPTの回答内容に影響を与えない。2つ目は、「会話のプライバシー」。ユーザーとの会話内容は広告主に共有されない。3つ目は、「選択とコントロール」の仕組み。ユーザーが広告体験を管理できる仕組みが提供される。4つ目が、「長期的価値」という視点。短期的な収益よりも、ユーザー体験と信頼を優先するという考え方である。
これらの原則とともに改めて強調されたのは、この広告事業が「AGIが全人類に利益をもたらす」というOpenAIのミッションを支える柱の1つであり、AIをより多くの人に届けるために存在するという位置づけだ。
ただし、これらの原則が実際の運用の中でどのように実装されるかは、今後も見ていく必要がある。特に、会話文脈に応じて広告を出しながら、会話のプライバシーを守ること、広告主へのレポート粒度をどう設計するか、ユーザーがどこまで広告体験をコントロールできるかは今後どうなるか注目すべき点である。
文脈の言語化が重要に。広告機会を左右する「Context Hints」
続いて、Shirofuneの菊池満長氏から、ChatGPT広告の運用支援について説明があった。Shirofuneでは、広告運用の自動化・効率化を支援するツールを提供しており、主要広告媒体の新規広告配信設定から、予算管理・調整、自動入札最適化、運用改善施策の提案・実行、レポート作成までを一貫して自動化することを特徴としている。
対象となる媒体にはGoogle広告、Yahoo!広告、Meta、Instagram、X、LINE広告、TikTok、Microsoft、Pinterest、LinkedIn、Amazonなどが示されるが、その中にChatGPTも加えられていた。これは、ChatGPT広告が既存のデジタル広告運用のエコシステムに入り始めていることを示す。
一方で、菊池氏の説明によれば、ChatGPT広告には従来の広告媒体とは異なる大きな特徴がある。それが、広告グループ階層に存在する「Context Hints(コンテキスト・ヒンツ)」である。
Context Hintsは、従来の広告でいうターゲティングに近い役割を持つ。しかし、年齢・性別・地域や検索キーワードの指定とは異なり、「広告をどのような会話文脈に表示したいのか」を文章で指示するためのインストラクション欄に近い。
これはOpenAIの「My GPTs」におけるプロンプト設計に似ており、広告主は「どのような相談をしているユーザーに表示したいか」「どのようなケースでは除外したいか」を言語化する必要がある。
検索広告では「キーワード設計」、SNS広告では「オーディエンス設計」が重要だったが、ChatGPT広告では、この会話文脈をどう定義するかというプロンプティングの力が、今後の新しい広告運用上の差別化要因になり得る。筆者自身、生成AIの研修を広める取り組みを通じてプロンプト設計の重要性を実感してきたが、このContext Hintsの書き方次第で、広告の配信先や成果が大きく変わるのではないかと予想している。
後日公開の「対策編」では、今回示した現状から考えるべき次のようなトピックについてお届けする。
- ChatGPT広告における運用上の課題と解決策
- 会話型AI上に出る広告のリスクと意識すべき倫理
- 生成AIで広告はどう変わり、マーケターは明日から何ができるか
