単なる値引きから「おもしろい体験」へ変える
次に鄭氏は、ゲーミフィケーションを取り入れることで“遊び心”を届ける施策について解説した。
アソビューも、従来はクーポン配布やポイント還元といったインセンティブに頼りがちだったという。しかし、“クーポンありき”の顧客が増えれば、値引きがないと購入してもらえなくなる。そこで、「おもしろい体験」を提供して楽しませる施策に取り組んでいる。
その1つが、ゴールデンウイーク期間に実施した「ガチャ施策」だ。この施策は、顧客へのインタビュー内容をヒントにして生まれた。
「当社のサービスを使っていない人は、お出かけをしていないのか。そうではなく、ファミリー層なら週末に公園に出かけています。なぜなら、あれこれ考える必要がなく、失敗も少ないからです。つまり、行き先を探す手間と、探したお出かけ先に満足できるかわからないことが、ハードルになっているのです」(鄭氏)
そこで考案したのが、お出かけ先の選択肢をある程度絞り込む「ガチャ」だ。アプリで「ハズレなしガチャ」を回してもらい、「東京都で使えるクーポン」「遊園地・テーマパークで使えるクーポン」など、エリアやジャンルを限定したクーポンを配布。ゲーム要素によって開封率も上がり、期間中の売り上げが増加した。
あえて“斜め上”のお出かけを提案
さらに、「複数ペルソナ提案」という施策も実施。従来は、ファミリー層の顧客にはファミリー向けの商品を、一人で出かける顧客には一人で楽しめる商品を提案するだけにとどまっていた。
「ファミリーのお客様でも、子どもが大きくなるとお出かけシーンが変わり、提案が合わなくなります。実際に、サービス開始当初から利用していたお客様がたくさん離脱してしまいました。そのため、普段の傾向とは少し異なる“斜め上”のお出かけもあえて提案しています」(鄭氏)
この提案によって、顧客の視野を広げ、新しい商品との出会いを促している。たとえば、ファミリーで利用した人に「一人のぜいたくな時間」を提案したり、友人と利用した人にデートスポットを紹介したりしている。
一方、そういった“斜め上”の提案に乗ってもらうことはなかなか難しい。そこでBrazeを活用し、AIによる「口コミの厳選」も行っている。同じ施設でも、どのように利用したかによって感想は大きく異なる。ファミリー向けのLPにはファミリーで利用した人の口コミを、「一人の時間」を提案するLPには実際に一人で行った人の口コミだけを掲載し、「楽しめる」根拠を強めている。
最後に鄭氏は、今後も顧客に合ったおもしろい体験を届けるために重視するポイントとして、「顧客を徹底的に理解する」「潜在ニーズを深く把握する」「そのニーズを商品に反映し、最適な顧客体験を創出する」の3つを挙げた。
Brazeでは、一歩先のレコメンド機能として、AIエージェントを盛り込んだ「BrazeAI Agent Console」も提供している。LINEと連携すると、トーク画面で今の気分に合った商品を提案してくれる機能だ。
企業やブランドに対して、「自分にぴったり」の提案を求めることが当たり前になりつつある今、テクノロジーによってパーソナライゼーションを支援するツールが強力な味方になりそうだ。

