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先進企業3事例にみるBtoC領域のMA活用、顧客視点のカスタマージャーニーを実現するためにできること

新カスタマージャーニーを構築するマテル社

 世界的な玩具メーカーである米マテル社が取り組んでいるのが、デジタルの世界と現実の商品を融合した新カスタマージャーニーの構築だ。同社がチャレンジしていることは2つ。1つは子どもの成長に合わせたブランド価値の提案、そしてもう1つはデジタルの積極活用だ。

マテル社はツールを活用しジャーニーを設計。リアルとデジタルの両面から「おもちゃで遊ぶ」体験を提供している。
ツールを活用しジャーニーを設計。リアルとデジタルの両面から「おもちゃで遊ぶ」体験を提供している。

 マテルが販売権を持つ玩具ブランドは多種多様。有名どころでは女の子向けのバービー人形のほか、世界中の子どもたちから大人気の「きかんしゃトーマス」、一時大流行したカードゲーム「UNO」などがある。商品の対象年代もさまざまで、「生まれたばかりの新生児~月齢5カ月まで」「半年~1歳児」「1歳~2歳児」など成長に合わせて細かく設定されたブランドを展開している。ところがこれまで同社では、ブランドごとにマーケティングを展開していたため、対象顧客である子どもの成長に合わせた提案ができなかった。1歳まではマテルのおもちゃで遊んでいても、2歳になると別のメーカーの玩具に乗り換えてしまうといった具合だ。

 そこで同社は、各ブランドでデジタルを活用したよりリッチな体験を提供すると共に、ブランド間で情報を共有して、顧客の子どもの成長に合わせた玩具ブランドを提案するカスタマージャーニーを構築している。

 マテルの強みは、歴史ある企業なので親子2代にわたってファンを獲得できること。自分が遊んだブランドの玩具を、子ども用に購入するケースも多い。例えばミニカーを購入した父親に向け、購入したミニカーを使ったレースゲームアプリをダウンロードするように促し、親子でマテルの商品で遊んでもらうようなジャーニーを作る。なかなかアプリをダウンロードする気配がなければ、出荷時のお知らせメールや電子レシートの最後にダウンロード用URLを記載し、アプリへ誘導する。このジャーニーをMAで自動化することで、マーケターの作業負荷をかけずにデジタル体験へと誘導できるという。

 またデジタルのゲームと、リアルな玩具を親と子が体験することで、ブランドへのロイヤルティも高まる。購入者である親の情報をブランド間で共有すれば、最適な玩具を提案できるようにもなる。

全チャネルでデータを活用するRoom&Board

 あらゆる顧客チャネルでパーソナライゼーション体験を提供することで売上を伸ばしているのが、全米13州でビジネスを展開する家具メーカーのRoom & Boardだ。

 同社の家具は9割以上が国内家具職人の手で生産されたもので、品質の高さには定評がある。普通、家具は一度購入するとなかなか買い換えるものではないが、同社はMarketing Cloudの予測アルゴリズムを活用することでお勧め商品をパーソナライズし、注文件数を大きく向上させている。その仕組みは次のとおりだ。

 顧客がWebサイトを訪問してさまざまな製品を閲覧すると、その行動履歴はMarketing Cloud内に蓄積される。購入すれば、どの商品をいつ買ったのかという履歴も集約される。Room & Boardの場合、毎週月曜日にサイトのレコメンデーションを更新するという運用ルールを作っているため、同社のサイトに月曜日以降に訪問すれば、過去の閲覧履歴や購入履歴を基に予測アルゴリズムがはじき出したお勧め商品が一新されているという具合だ。

Room&Boardはユーザー別にWeb上での行動や購入の履歴を把握。メールキャンペーンの展開につなげている。
ユーザー別にWeb上での行動や購入の履歴を把握。メールキャンペーンの展開につなげている。

 またメールを送る際も、顧客が最後に閲覧した商品画像をアイキャッチに使うことで効果的にキャンペーンを訴求するなど、すべてのチャネルでデータを活用して最適な商品を選ぶカスタマージャーニーを構築している。もちろん、Webサイトで購入してもらう必要はなく、店舗に足を運んでもらうだけでも十分だ。あとは店員が、その顧客に適した商品を紹介しながら、購買に誘導する。このようにデータを活用して、全チャネルでパーソナライズされた最適なレコメンドを行うことで、大きく売上を伸ばしているという。

適切なオートメーション施策を判断するには

 以上の事例を紹介しながら、加藤氏は「BtoCのカスタマージャーニーには、オートメーション化できるポイントがいくつかあります」と説明する。資生堂ならOne to Oneコミュニケーションの自動化であり、マテルはデジタル体験促進であり、Room & Boardならパーソナライズされたレコメンデーションだ。

 一般的なカスタマージャーニーに当てはめて考えると、顧客の「獲得」から「購買」「エンゲージ」「維持」の中で、自動化できるポイントは複数ある。例えば、初めて見込み顧客を獲得した際のオプトインの問い合わせや、登録後のウェルカムメールなどは自動化が簡単な部分だ。エンゲージフェーズにおいて、顧客データを基に誕生日メールやクーポンを配布することも、大部分のBtoC企業で自動化されているだろう。

 こうした施策のどこをどのようにオートメーション化すれば良いのか。加藤氏は考え方のひとつとして、「企業への価値」と「実装の難易度(時間、コスト)」の2軸で考え、着手しやすそうな部分や高付加価値が期待できる分野から検討を始めることをすすめている。

適切なオートメーション施策を判断する

 そんなカスタマージャーニーを実現するのが、ひとりの顧客にさまざまな情報を結び付けることができる「Single Customer View」を基盤に、広告チャネルやWeb、メール、モバイル、ソーシャルなどあらゆるタッチポイントに対応してカスタマージャーニーを設計できるテクノロジーだ。最後に加藤氏は、「あらゆる情報と、企業が提供できるさまざまな情報を集約し、複数のタッチポイントをカスタマージャーニーにラッピングさせていく。これがBtoCのMAの基本であり、それを実現できるテクノロジーを活用することが、競争力優位を実現するのです」と力強く語った。

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事例満載のMarketing Cloud Dayレポート

 2015年7月3日に開催されたマーケティング・イベント「Marketing Cloud Day」がレポートになりました。トヨタメディアサービス、パソナ、グリーなどの国内企業や、本記事でも触れたマテル社など数々の海外事例が紹介された同イベント。その情報を凝縮した資料は、役に立つこと間違いなし。

 イベントに行かれた方も行けなかった方も、ぜひご覧ください!ダウンロードはこちらからどうぞ。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/18 10:00 https://markezine.jp/article/detail/23318

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