「次はこれを飲んでみてほしい」をジャーニー化
加藤氏:具体的に、カスタマージャーニーはどのように設計しているのでしょうか
池照氏:初回購入商品をキーとして数種類のメールを送り分けて、適した商品をお勧めし、適宜クーポンなどを発行して次回の購入を促します。
例えば、当社のエントリー商品である「エヴァーグリーンボックス」というセット商品を買ってくれた人には、次に違うセットを勧めてみる。反応がなければ、最初のセットに含まれるブランドから別の商品を紹介したり、同じ生産国や地域、ぶどうの品種で別の商品を紹介したりしています。また、ワイン自体のエントリー層なのか、普段からワインは買っているけれどエノテカでの購入は初めてなのかによっても、コンテンツの内容は変わります。
先ほど申し上げた通り、当社はワイン好きが多い会社。「このワインが好きなら、次はこちらも、ぜひ飲んでいただきたい」というお勧めをスタッフ一人ひとりが持っています。お勧めのパターンを緻密に分解して、シナリオメールの分岐に落とし込んでいきました。
加藤氏:なるほど、お客様に適切なワインを提案するアプローチ自体が御社のコアコンピテンシーであり、その最も強い部分が反映されたジャーニー設計ですね。
私は「JAPAN CMO CLUB」(※)の活動を通して、多くの企業のカスタマージャーニーについてお話を伺ってきました。そのなかで、自分たちの価値が反映されたジャーニーが最も結果が出ると感じています。その点で、御社の落とし込みは非常に素晴らしいですね。
※JAPAN CMO CLUB:宣伝会議がセールスフォース・ドットコムの協力の下に運営する、マーケティングリーダーによる非営利組織。詳細はこちらの記事をご覧ください。
店員の暗黙知をデータで再現する
MZ:実際にMAを運用する際、「Marketing Cloud」で特に活用している機能は何でしょうか?
池照氏:非常に優れているのは、顧客の情報を簡単に集約できる「Contact Builder」という機能です。当社も既存の基幹系システムに購買情報などを蓄積していましたが、統計情報にはなっていませんでした。
店舗のスタッフは、お客様の性別や年齢層などの属性、予算や味の好みなどを踏まえてワインをお勧めしています。そこには経験に基づく暗黙知も多いですが、社内で分散していた複数のデータを「Contact Builder」でまとめることで、ある程度ロジカルにパターン化できるようになりました。
加藤氏:「この人ならこれを」といった、店舗のスタッフが無意識に行っているセグメンテーションを、データで実現しているのですね。
池照氏:その通りです。顧客をきっちりセグメンテーションできれば、我々には手の打ちようがある。「この人なら」の部分が店舗では暗黙知でしたが、これをデータではどう導くか、エンジニアのチームと相当深くディスカッションをしましたね。
商材的に難しいのは、例えば100本限定の高価格帯のワインを3万人にお知らせすると、売り切れて苦情につながったりもする。セグメントが、販売する商品のキャパシティに合うサイズかどうかも重要です。それらも含めて「Contact Builder」が、また「Marketing Cloud」全体が機能しています。
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ワインとの出会いを演出するエノテカ。そのジャーニーマップの設計思想は本記事で紹介していますが、具体的にはMarketing Cloudの、どのような機能を活用しているのでしょうか?
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