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「“カスタマー不在”のジャーニーマップでは失格」ベネッセ、アウディ流カスタマージャーニーの活かし方


ジャーニーマップは、とにかく「Simple&Bold」に

 では、どうすれば良いのか。橋本氏がたどり着いた答えは「とにかく『Simple&Bold』なジャーニーマップを描く」ことだった。

 「あまり大掛かりなことは考えずに、ちゃんと自分たちの活動の中にゴールを設定し、どこまで最適化するのかを超明確にすることが大切です。 そして必ず検証できるところから始めること。検証できないところを無理に埋めようとするから、机上の空論になってしまう。すべては検証できるかどうか。 加えて、ペルソナは多数設定してはいけません。『既存のターゲット』と『戦略的に拡大したいターゲット』の2つだけで十分です。ここを複雑怪奇なパターンで作ってしまった時点で崩壊すると思って、間違いありません」(橋本氏)

 この考えを踏まえ、実際にジャーニーマップを作成するための5つのステップが紹介された。

現在展開しているチャネルを並べてみて、繋がりや顧客動線を明らかにした上で、データ検証が「できている」ものと「できていない」ものに分類する
現在展開しているチャネルを並べてみて、繋がりや顧客動線を明らかにした上で、
データ検証が「できている」ものと「できていない」ものに分類する
太いメインの動線を作るため、データ検証できていない無駄な接点は、思い切って切り捨てる勇気を。動線ができたら、点線になっているまだデータ検証できていないところも、できるように設計しなければならない
太いメインの動線を作るため、データ検証できていない無駄な接点は、思い切って切り捨てる勇気を。
動線ができたら、点線になっているまだデータ検証できていないところも、
できるように設計しなければならない
ベストルートができたら、各接点の役割をしっかり考える。どんなコミュニケーションをとっていて、メッセージの一貫性は保たれているのかを改めて見直してみよう
ベストルートができたら、各接点の役割をしっかり考える。
どんなコミュニケーションをとっていて、メッセージの一貫性は保たれているのかを改めて見直してみよう
ペルソナを仮説で作るとおかしなことになるので、基本となるのはデータ検証できている既存のお客様。データ検証できている今のお客様に対して、どういうベストルートがあるのかを明確にした上で、戦略的に拡大していきたいメインターゲットのペルソナを設定してあてはめていく
ペルソナを仮説で作るとおかしなことになるので、基本となるのはデータ検証できている既存のお客様。
データ検証できている今のお客様に対して、どういうベストルートがあるのかを明確にした上で、
戦略的に拡大していきたいメインターゲットのペルソナを設定してあてはめていく
PDCAを回してコツコツ積み上げながら接点の質を高めていくことで、シンプルで太いプロセスを作り上げていく
PDCAを回してコツコツ積み上げながら接点の質を高めていくことで、
シンプルで太いプロセスを作り上げていく

 実際にカスタマージャーニーをSimple&Boldにした結果、どういった成果があがったのかと菅氏が問いかけたところ、橋本氏は次のように答えた。

 「無駄なところにお金を使わなくて済むようになりました。 “既存顧客を伸ばそう”という観点と、“新規顧客を増やそう”という観点の2つを明確にして施策を打っていけるので、パフォーマンスが向上しやすいと思います」(橋本氏)

カスタマージャーニーによってモヤモヤ感が生まれる理由

 続いて、アウディジャパン井上氏から「テーマ2:顧客体験をより本質的に捉えてプランニングに活かす」と題したプレゼンテーションが語られた。井上氏は開口一番「『カスタマージャーニー』という言葉自体がバズワード化している中で『カスタマージャーニーのジャーニー』といいますか、カスタマージャーニー作成において陥りやすいパターンがあるのではないでしょうか」と疑問を呈し、自身の体験談を元に次のように述べた。

 「カスタマージャーニーはデジタルを中心に作ることが多いですが、タッチポイントによって担当者も複数存在します。カスタマージャーニーで役割を定義しようとすると、それぞれに不満が生じて、全員が腹落ちしない状態になりがちです。さらに、カスタマージャーニーの効果検証もしようがないので、モヤモヤ感が募っていくのではないでしょうか」(井上氏)

 井上氏が課題感を持っていたのは、次の4つのポイントだ。

  • 企業がお客様のジャーニーを(勝手に)デザインできるのか?
    カスタマージャーニーは、いわばパッケージツアーのようなもの。企業がお客様のジャーニーを勝手にデザインするのは、いかがなものか。
  • タッチポイント視点で良いのか?タッチしているだけではないのか?
    そもそもそれぞれのタッチポイントは、ただ“タッチ”しているだけで、ちゃんとブランドを体験できているとは限らないのではないか。
  • 「ブランド体験」を考慮しなくても良いのか?
    タッチポイントで態度変容させることがカスタマージャーニーのキーだと思うが、態度変容はあくまでも結果。カスタマージャーニーでは態度変容を起こしている“ブランド体験”という視点が抜けてしまうのではないか。
  • メディア接触以外の「ブランド体験」は考慮しなくて良いのか?
    打ち手としては結局、既存のタッチポイントの組み合わせになってくる。ブランド体験が作られるのはメディア接触以外にもたくさんあるはずだ。

次のページ
カスタマージャーニーとCxDはどう違う?

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/04/23 16:27 https://markezine.jp/article/detail/24125

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