開発から運用まで、LINE ビジネスコネクト活用を一気通貫で支援
2014年2月にLINE ビジネスコネクトがリリースされて以来、さまざまなマーケティング支援会社がLINEを通じたOne to Oneマーケティング実現のためのソリューションを開発してきた。その中でオプトは、LINE ビジネスコネクトの構想が発表された後すぐに独自ツールの開発に着手。同年11月には、LINEビジネスコネクト配信プラットフォーム「TSUNAGARU(ツナガル)」をリリースした。
LINE ビジネスコネクトのサービスの核は、APIの公開にある。よってLINE ビジネスコネクトを活用したい企業は、APIを利用した開発が必要だ。
その開発をオプトが担い、LINE内のデータと導入企業側の顧客データが連携できるようにしたのが、「TSUNAGARU」。LINEを介したセグメント配信をはじめ、One to Oneマーケティング実現のためのさまざまな機能が利用できる。
2017年7月現在、取扱うLINEアカウント数は、国内のナショナルクライアントをはじめ約30社。オプトは「LINE ビジネスコネクト パートナープログラム」の認定パートナーで、LINEが主催する「LINE ビジネスコネクト パートナーアワードプログラム」では、2017年度のゴールドパートナーとして表彰されている。
「クライアントの要望にスピーディーかつ効率的にお応えするために、2015年10月にはLINE戦略部を新設しました。LINEにまつわるセールス、コンサルティング、アカウントなどの運用代行、開発など全てを一括して担うことで、質の高いサービス提供を実現します」(馬場氏)
新設時は5名でスタートしたLINE戦略部は、2年弱の活動で約30名(2017年7月現在)の規模に拡大。オプトがLINEを活用したソリューションの提供に注力していることがわかる。
ユーザー情報をLINEアカウントに統合し、コミュニケーションを最適化
LINEは、すでに国内の多くのユーザーにとってインフラ化した非常に身近な存在だ。だからこそ、LINEという1つのプラットフォームに対して、認知向上から新規獲得、SNS対策、CRMに至るまで、あらゆるマーケティングファネルに対する施策が求められる。
今日的な背景を踏まえた時、LINE ビジネスコネクトを利用するメリットは、ユーザー情報をLINEアカウントに統合できることにある。
「たとえば、『TSUNAGARU』の会員カード機能を使うことで、LINEのリッチメニューからバーコード状の会員証が発行できます。そのバーコードをユーザーが店舗で提示するようになれば、オンラインとオフラインのそれぞれで付与してきた購入ポイントや購買履歴が一本化できます。1人のユーザーに対してバラバラに管理されたデータがユーザーのLINEアカウントをキーにしてつながるのです。
既存のシステム上の制約や開発費の高騰などを理由に、オンラインとオフラインの各データを統合できないという企業側の悩みをよく聞きます。しかし、開発費も抑制できる『TSUNAGARU』であれば、その悩みが一気に解消されます」(馬場氏)
もちろん、LINEアカウントによるデータ統合は、実店舗などのオフラインを抱えない企業でも大きな恩恵が得られる。たとえば、LINEから各種アプリに遷移すればアプリのIDと連携でき、FacebookやTwitterといった各種SNSに遷移すればSNS IDと連携できるからだ。
「LINEアカウントを活用してデータを統合することで、ユーザーの行動が把握しやすくなります。さまざまな情報が揃うほど、ユーザーへのコミュニケーションの質も向上できる。『TSUNAGARU』がIDマスター管理のようなハブとなれば、セグメント配信のほか、チャット機能やバーコード表示機能など、各ユーザーに合わせた最適なコミュニケーションが行いやすくなります」(小田切氏)
ECサイトの売り上げが4倍に!ユーザー1人ひとりに合わせたレコメンド配信機能
では、「TSUNAGARU」を導入する企業や業態にはどのような傾向があるのか?
今年6月に「TSUNAGARU」と連携するMA「TSUNAGARU:MA(ツナガル:エムエー)」がリリースされた。導入テストでは、すでに通常のECサイトの売り上げが4倍に向上したとの結果が出ている。
「MAを活用したレコメンド配信により、大きく業績を伸ばしている大手ファッションモールなどもあります。今回のMAには、ユーザー1人ひとりに合わせたレコメンド配信のような役割を期待する声が多く、とりわけアパレル業界の企業を中心にご相談をいただくケースが増えています」(馬場氏)
実際にオプトでの導入企業の3分の1強がアパレル業態なのだという。
現場のニーズから生まれた4つの独自機能
「TSUNAGARU」の運用において、オプトが力を入れているのがサービス機能の独自開発だ。先にも触れた通り、セグメント配信やチャット、バーコード、MAなどニーズの多い機能はほぼ網羅的に搭載されている。
オプトはこれに加え、さらに独自機能を開発。これまでに、メッセージ開封率集計機能をはじめGoogle AnalyticsやADPLANなど計測ツールとの連携機能、リッチメッセージテンプレート作成機能、拠点チャット機能を開発し提供してきた。
「たとえば開封率は、LINE側でも開示していません。LINEは誰にとっても利用頻度の高いツールなので、開封率を把握できれば発信した情報の中身や質について、裏付けを持った検証ならびに検討が可能となります」(小田切氏)
4つの独自機能に共通するのはこれらの機能が、クライアントからの要望から生まれている点。つまり、現場のニーズにかなったリクエストを具現化した、実用性の高い機能が装備されている。
「Google AnalyticsやADPLANなど計測ツールとの連携機能は、LINE上の個々人を識別する独自の識別子情報と、計測ツールのデータを掛け合わせることで、特定のページやカテゴリーを訪問したユーザーを割り出しながらリターゲティングメッセージを配信できる機能です。もちろん、LINE側は個別のLINEアカウントに紐づく顧客データは保持しない仕様なので、安心して連携していただけます。
リッチメッセージテンプレート作成機能は、ニュースや読み物、ランキング表示など、コンテンツの種類や用途にあわせたテンプレートが管理画面ベースで簡単に作成できるもの。デフォルトだとわかるテンプレートではなく、発信側の個性を反映できるテンプレートが作成できる点にメリットがあります」(馬場氏)
エイチ・アイ・エスも活用!「拠点チャット」機能
4つの独自機能の中でも、特に注目したい機能が2017年1月にリリースされた「拠点チャット機能」。拠点チャット機能は、1つのアカウント(本店)とユーザーをつなげることで、本店と紐づく支店ともLINEチャットでつながれるサービスである。
「不動産、予備校、専門学校、生命保険など、支店が多い企業、業態と相性が良い機能です。アカウントは1つで済むので、最初はユーザーと本店がつながった上で、問い合わせの内容によってチャットの内容を支店に引き継ぐことができます。たとえば、ユーザーが問い合わせをした物件が東京の渋谷にあるとすれば、ユーザーが本店のLINEアカウントにチャットで問い合わせをした後、本店アカウントから渋谷支店にチャットを引き継ぎ、後は渋谷の営業担当さんがLINE上でユーザーと個別にチャット対応できるようになります」(馬場氏)
この機能を活用して特に成果を出しているのが、国内大手の旅行会社エイチ・アイ・エスだ。同社はLINE公式アカウントを使ったチャットコンシェルジュサービス「海外コンシェル」を1月からリリース。8カ月で利用者数はのべ6,000人となり、7月からは米ハワイやサイパンでの展開もスタートしている。
「海外コンシェルは、エイチ・アイ・エスさんのツアーを利用したユーザーが、旅行中にLINEトーク画面経由で、現地の支店スタッフとつながることができるサービスです。たとえば、パスポートをなくした、タクシーを呼んでほしい、レストランを予約したいなどの要望・問い合わせに対して、現地でのコミュニケーションを可能にします。現時点ですでに20拠点で導入済みです」(馬場氏)
スピード感を持ってユーザーニーズに応えたい
最後に、「TSUNAGARU」を起点にした今後の展望などを2人に聞いてみた。
「LINEのアカウント全体の友だちに対して、コネクトを許可するユーザー(友だち)が多くない場合、コネクトしなくてもアンケートデータやサイトの行動データを活用して、メッセージの配信対象ユーザーを広げることが可能です。
また個人情報保護などセキュリティが気になるときは、クライアント側で顧客データを管理しながらコネクトするといった方法も可能です。こうした企業に合わせた開発に、スピード感を持ってあたっていきます」(小田切氏)
「弊社は技術力と開発スピードの速さが強みです。他社の工期の8割ほどで開発が完了できることがほとんどで、過去にも他社が無理というスケジュールで高品質のツール開発や個社別のカスタマイズ開発をしてきました。
あとは、MAツールもリリースしたので、購買情報を加味した複雑なシナリオを、より簡単な操作で開発できるようにしたいですね。弊社のMAを導入した企業の中には、LINE経由の売り上げ高が単月1億円を突破した企業も出てきています。MA機能は、特に複数の商材を扱う企業、業態にマッチしたソリューションです」(馬場氏)
One to Oneマーケティングソリューションとして、LINE ビジネスコネクト経由のサービスは定着しつつある。スピード感をもってユーザーニーズの実践を徹底するオプトから、次にどのようなツールが開発され、新たな機能が生まれるのか? 注目していきたい。