パーソナライズド動画で、One to Oneコミュニケーション
続いて紹介されたのは、diipが連携可能な様々なアウトプットのひとつ、パーソナライズされたコンテンツ配信の事例だ。某保険会社では、契約更新の案内にDNPが提供するパーソナライズド動画を採用。動画内に顧客の名前を表示するだけでなく、おすすめの契約内容・金額に加え、契約情報に合わせたオプションのレコメンドを行うことで、更新率の向上およびクロスセルを実現している。
パーソナライズド動画の作成は、動画生成エンジンで自動化されている。PC・スマホと複数のデバイスに対応し、動画視聴行動データも取得可能だ。
さらに、セキュアな環境で配信できる点も好評だという。映像コンテンツと個人情報のデータは別のサーバーで管理しており、動画へのアクセスがあると、それぞれのサーバーからデータが配信されるため、シームレスかつセキュアな配信を可能にしている。
これにより、顧客の行動ログやアクションに応じて、リアルタイムに動画を生成して提供することができ、より顧客の状況・要望に合わせたコミュニケーションがインタラクティブに行えることも特徴だ。
生活者の属性にマッチングしたコンテンツを、紙媒体でレコメンド
これまで、MAと連携するアウトプットとしては、メールやLINEといったデジタルのチャネルを中心に考えられてきた。一方、顧客にはデジタル施策のみでリーチできない層もいるため、デジタルとアナログ両方を組み合わせた施策を実行する必要がある。
そこでdiipは、ダイレクトメールやパーソナルカタログなどの印刷物にも対応。つまり、これからはパーソナライズされたコンテンツは、紙媒体でも届けることができるのだ。
「1枚1枚を違う内容にできるバリアブル印刷が登場したことで、パーソナライズドDMの市場は伸びています」と林氏は話す。
紙媒体も今や個人に合わせて内容を最適化できる時代。DNPが独自に開発したクラスターである「生活者DNA」をもとに商品をマッチングさせて制作・配布するレコメンドチラシは、通常のチラシよりも購入率が2倍となる結果が出ているという。
印刷会社の強みを活かしたコミュニケーションを
最後に林氏は今後の印刷業界のトピックとして、MAベンダーと印刷会社の提携が増えていることを挙げた。
「需要が伸びているDMについて、DNPは得意とする高クオリティなDMで価値を上げていきたいと考えています。そのためにもdiipは他社のMAベンダーとも連携し、プリント出力するゲートウェイ機能を強化していく予定です」(林氏)
現在クライアント企業からは、MAを導入したが運用が難しい・人手が足りないという相談が多くなっているという。林氏はDNPのデジタルマーケティング支援について、「生活者と企業をつなぐ各種コンテンツ制作だけでなく、CRM設計や販促キャンペーンの運用など幅広いサポートをしていきたい」と話し、セッションを締めくくった。