感動体験を創造しマネジメントする、DNPのデジタルマーケティング支援
林氏は次に、DNPのデジタルマーケティング事業が提供する次世代型のコミュニケーションについて語った。
同社では、以下3つを企業が抱えるデジタルマーケティングの課題としている。
これらの課題を解決するため、DNPが考えたコンセプトは「Emotional Experience 現実(リアル)とデジタルをつなぎ、感動体験を創造する」ことだという。
「体験とは、満足と不満足の連続です。たとえばレストランへ行ったときのことを考えてみましょう。良い接客を受けたり、何かしらの理由でクーポンが使えなかったりと様々な出来事を体験します。そして、それが自分の期待値を超えると満足し、下回ると不満足に思います。
このような体験の中にある細かいボトルネックやペインポイントを探りながら、顧客満足度が低い点は改善し、高いところはさらに向上させていく。弊社はこの視点のもと感動体験を創造し、マネジメントしていきます」(林氏)
生活者のデータを分析し、適切なコミュニケーションを実行する「diip」
顧客の感動体験を創造し、マネジメントする。この実現のため、DNPが開発・提供しているソリューションが「diip(data integrated information platform)」だ。
diipは、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)とMA(マーケティング・オートメーション)の要素を持ち合わせたデジタルマーケティングプラットフォーム。様々な業界で利用できる豊富な分析テンプレートを用意し、担当者の変更や経験値の違いにも対応できる使いやすさが特徴だ。またdiipの研究開発企業は日本国内にあるため、改善やサポートも柔軟だ。
林氏は同ソリューションのストロングポイントに関して「生活者との接点で得られる多様なデータを分析し、一人ひとりの体験にあったタイミングでコミュニケーションを提供できることだ」と語った。
顧客のセグメントを購入実績から購買商品の傾向へシフトさせ、購入コンバージョンがアップ
同サービスの説明をしたところで林氏は、diipの事例をいくつか紹介した。最初に挙げたのは、同ソリューションのMA機能を活用した「honto」の事例だ。hontoは、トゥ・ディファクトが運営するハイブリッド型総合書店。丸善・ジュンク堂書店・文教堂などの書店利用と、電子書籍と書籍の通販が可能なWebサイトを連携したサービスを提供している。現在400万人の会員を持つ。
「従来のMAは、顧客のロイヤルティに応じてセグメントを行います。hontoでも、購買実績に基づいた顧客セグメントに合わせてメールを配信していましたが、diipの導入後は、セグメントを購買行動のタイミングに変更しました。購入する前、購入を検討中など会員の行動にそってシナリオを設定し、ターゲティングメールを配信したのです。結果、メールの開封率が2倍近くになり、コンバージョン数も増えました」(林氏)
まさに、「選ぶ」「買う」という行動にともなう感情を意識した施策となっている。