DMを受け取ると嬉しく感じ、興味が持続するという結果に
一色:結果として、DM送付者のサイトアクセス率が45%でした。通常Eメール送付時のアクセス率が0.7%ですので60倍以上の効果がありました。
また実験の際にクラスタのLTVを調査したところ、リピート率の高い優良顧客が多かったということもわかっています。オンライン施策が届かない層に、ロイヤリティの高いお客様がいらっしゃったのです。
大木:続いて2回目の実証実験です。今度の母集団は、過去1年間プリントサービスをご利用になった方かつ、オプトインメール対象者から無作為に15,000人が選ばれています。そこからDMとEメールを送付する順番を変えた3つのクラスタに分けています。
DM・Eメールの順に送付するクラスタ1、Eメール・DMの順がクラスタ2。そしてDMを送らずにEメールを2回送る、クラスタ3となっています。
なおインセンティブは、フォトブック1冊無料クーポンとフォトブック全商品半額クーポンです。また、DMを受け取った際の態度や気持ちの変容についてアンケートも行っていますね。
一色:このアンケートは、早稲田大学の恩藏直人先生にご協力いただいています。今回のDMを手に受け取ったときの感触や紙の匂いなどが、人の五感へどう影響するのかアカデミックな面からも分析しました。
大木:結果はいかがでしたか。
一色:DM・Eメールの順に送付したクラスタ1の注文率が、1番高い結果となりました。Eメールのみのクラスタの4.7倍です。
クラスタごとのサイトアクセス数をグラフ化してみますと、DMによる反応は持続性があることがわかります。またリマインドの役割にもなった2回目の送付以降も反応が続いていますし、クーポン利用の締め切り日にもう一度山場が生まれます。興味が持続しているんです。
大木:DMは物として存在しますので、興味があれば目の届く範囲に置いて見返すというイメージが浮かびますね。
一色:続いて、学術的考察の一部をご紹介します。クーポン配布対象者にEメールでアンケートを送り、調査しました。結果DMを受け取っていると、クーポン使用率も熟読率も高いというデータが出ています。またおもしろいのが、紙へ良い印象をもっているということです。
富士フイルムでは、写真をアルバムとして形に残すことで人同士の気持ちや関係性をつなげることができるのかという研究を進めています。紙と電子データが与える影響の違いは、今後も興味深い研究対象です。
DM×メルマガでアクセス数3.6倍を実現したリクルートジョブズ
大木:ありがとうございました。続いて、B to Bのサービスで同様の実験を行ったリクルートジョブズの事例をご紹介します。
リクルートジョブズのクライアントは、求人広告を出稿される事業会社です。その中にも、やはりオンラインで接点が持てないというクライアントがいました。そのような方へ、DMを使ってアプローチをしてみるという実証実験です。
クラスタは、メールのみ、DMとメール(A)、DMのみ(B)と3つに分け、結果としてクラスタAに最も良い反応が出ています。オンラインのみより、DMを組み合わせたほうがサイト訪問に3.6倍の成果が出ています。
またDMで、メルマガを購読されていないお客様に再びオンラインへリアクティブできたことも新たな気づきとなっています。引き続き、DMの実証実験は続けていらっしゃるそうです。